研究課題/領域番号 |
01480226
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
佐藤 信紘 順天堂大学, 医学部, 教授 (90028358)
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研究分担者 |
片山 和宏 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
佐々木 裕 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
吉原 治正 大阪大学, 医学部, 助手 (70230795)
川野 淳 大阪大学, 医学部, 助手 (60133138)
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キーワード | アルコ-ル性肝障害 / 薬剤性肝障害 / 肝移値 / 微小循環 / 癌遺伝子 / 肝再生 / 医工学 / ヒポキシア |
研究概要 |
アルコ-ルや薬剤性、肝保存などによる肝細胞障害、壊死過程、および引き続いて生じる肝再生過程における肝の微小構築の変化や、増殖に関わる細胞性癌遺伝子、遺伝子産物の変化、二次情報伝達系の動態を、分子生物学的に検討するとともに、肝微小循環系での役割およびその変化を、1)肝小葉類洞内血球速度、2)類洞内赤血球酸素化、3)組織酸素化、4)好中球、血小板の動員、集積、塞栓、5)高、低分子物質の血管透過性の面から、コンピュ-タ制御分光光度計を付置したin vivo microscopy系を用い医工学的に検討した。さらに、肝再生に伴って発現する分化機能を、グルタチオンなどの有機陰イオンや蛍光色素の類洞ー肝細胞摂取ー細胞内移動ー毛細胆管への分泌過程から検討した。その結果、肝小葉内門脈域(zone 1)に比し、中心静脈域(zone 3)が肝の虚血、うっ血の際や、薬物性肝障害、アルコ-ル性肝障害、移植肝に微小構築の異常を早期に来すが、微小循環異常は、1)zone 1,2に生じたのが下流域を障害し、2)巣状に出現し、3)血小板の凝集を伴い、4)白血球塞栓を生し、5)局所性のヒボキシアを生じて、6)trypan blue、1ーpyridiumの吸収、蛍光分析から細胞障害のin vivo解析が可能で、7)種々の血管作動性物質がその機序に関与していた。さらに、癌遺伝子やその産物、情報伝達に関与するcーkinaseなどの遺伝子の発現状態をNorthern解析、in situ hybridizationや間接蛍光抗体法で捕らえ、肝小葉内での分析、肝再生構築との関係を調べた結果、cーHaーras癌遺伝子、p21蛋白やcーkinaseは薬物障害からの肝再生時に組織障害、微小循環障害の強いzone 3に発現が著しく、明らかなzonal hetorogeneityが存在した。以上より、アルコ-ルや薬物性肝障害の発生、修復には肝の微小循環障害のheterogeneityが関与し、さらに肝再生がかかわる物質の遺伝子発現やその調節に与る蛋白合成にも小葉内heterogeneityが存有し、微小循環障害と密に関係していることが明かとなった。
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