研究課題/領域番号 |
01480228
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
武内 俊彦 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (20079990)
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研究分担者 |
早川 富博 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (50172995)
片桐 健二 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (50094363)
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キーワード | 胆汁酸 / 細胞障害 / 細胞保護作用 / 初代ラット培養肝細胞 / ウルソデオキシコ-ル酸 / βムリコ-ル酸 |
研究概要 |
昨年度の摘出肝潅流実験結果にもとずき、本年度はラット初代培養肝細胞を用いてTUDCAとTβMCAの細胞保護作用を検討した。TUDCAの光学異性体であるTCDCAを培養液に添加すると用量依存性に細胞内のTCDCA濃度が増加し、これに対応して培養液中LDHが上昇し、細胞内にの毒性胆汁酸が存在することが肝細胞障害の原因であることが推測された。これに対して、TUDCAまたはTβMCAを同時に添加すると用量依存性にLDH遊出を抑制した。添加群の培養各時点において細胞内TCDCA濃度を測定するとほぼ10nmol/g proteinであり、TCDCA単独群の20nmol/g proteinに比較して有意に減少していた。しかし、細胞内のTUDCAとTβMCA濃度は3ー4nmol/g proteinでありTCDCAの減少分を補う量ではなかった。さらに、これらの胆汁酸をTCDCA投与前に添加し一定時間培養後一旦洗浄してTCDCAを添加したものや、TCDCA投与後にTUDCAやTβMCAを添加したものではLDHの遊出が抑制できないことから、toxic bile acidsに対して一定量のcytoprotective bile acidsが同時存在することが必要である。作用機序として、TUDCAやTβMCAがTCDCAと物理化学的に反応して毒性の低い胆汁酸polymerを作る可能性、TCDCAの細胞内からの排泄を促進することなどが推定される。なお、非抱合型のUDCAやβMCAはそうした効果がみられず、抱合体に細胞保護作用が存在することが明らかである。今後は臨床例におけるTUDCAとTβMCAの効果の検討が望まれる。
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