フロ-サイトメ-タ-を用い、リンパ球表面のFcεリセプタ-の動向をTリンパ球とBリンパ球に分けて検討した。その結果、アトピ-患者では末梢血Bリンパ球のFcεリセプタ-の発現比率、強度とも正常人に比して有意に上昇しており、血清IgE濃度と相関を認めた。一方Tリンパ球についてはIgEが極めて高値の患者においても、その発現比率、強度とも全く正常人と差を認めなかった。また気管支肺胞洗浄液中Tリンパ球については、そのFcεリセプタ-の発現比率は末梢血と差を認めず、発現強度は末梢血よりも低下していた。Bリンパ球については元々気管支肺胞洗浄液に含まれている数が極めて少なく、信頼すべきデ-タは得られなかった。 遺伝学的解析については、当初Fcεリセプタ-の遺伝子のRFLPを検討しようと考えたが、1988年にイギリスのホプキンらが染色体の座位11q31とアトピ-素因との連鎖を報告したので、日本人での追試が必要と考え、その座位に対するプロ-ブを入手して4家系について、家族調査に基づく連鎖解析をおこなった。そ結果2家系ではある程度の連鎖を示したが、他の2家系では連鎖は認められなかった。従ってアトピ-遺伝子には多様性があることが推測された。 またその際の分離分析により、アトピ-素因は常染色体優性遺伝をすることが確認された。 血清IgE結合因子については、アトピ-患者と正常人で明らかな差は認められなかった。
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