研究概要 |
1)ペ-シング犬の心機能の対照群(sham operation群)との対比 NMRコイルやペ-シング・リ-ドは植え込んだがペ-シングを行わずに6〜112日(66.3±51.0日)経過を見た対照群6頭(体重12.2±3.4kg)のうち2頭の圧デ-タと、rapid ventricular pacingを5〜35日(21.5±9.4日)行いペ-シング中止後15分〜7日(5時間、7日が各1頭、他はすべて3時間以内)経過をみたHIBERNATION群(以下H群)10頭(体重10.7±2.6kg)のうち6頭のペ-シング終了直後の圧デ-タを比較すると、左室拡張期末圧(対照群5.0±1.4,H群31.0±8.1mmHg,p<0.005)と左室peak negative dp/dt(対照群2384±37,H群876+229mmHg/sec,p<0.005)に有意差を認めた。 2)NMRスペクトロスコピ-によるリン酸化合物代謝の評価 Phosphomonoester(PME),inorganic phosphate(Pi),phosphodiester(PDE),phosphocreatine(PCr),ATPの3つのリン酸素(αーATP,βーATP,γーATP)および標準物質HMPTのピ-クについて、対照群のうち3頭とH群のうち9頭で検討した。対照群では手術直後に比べると全般にピ-クの減少することはあるが、手術1隅間以後は比較的安定した ^<31>pスペクトルが得られた。H群ではペ-シング前に比しペ-シング終了直後にPCrやβーATPが減少するものが多かったがばらつきがあり、全体としては有意でなかった。ペ-シング終了後3時間までのそれらの回復は少ないようであった。 3)HPLCによる高エネルギ-リン酸化合物の測定 ペ-シング中止後のPCrやβーATPの回復はNMRでみて大きくないようであったので、ペ-シング終了後心筋を摘出するまでの時間(1時間4例、3時間2例、7日1例)を区別しないで,ペ-シング後のHPLCによるATP,PCr,ADP,AMP値を対照群と比較したところ有意差が無かったが確定的でない。以上より、rapid ventricular pacingによる心機能障害の1つの機序として虚血は否定しきれず、今後のデ-タの蓄積が必要である。
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