内因性ジキタリス様ナトリウム利尿因子の同定と本態性高血圧の成因に関する研究

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01480247
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 荻原 俊男 大阪大学, 医学部, 教授 (60107042)
• 研究分担者: 大塚 篤弘 大阪大学, 医学部, 助手 (60213766) ; 桧垣 實男 大阪大学, 医学部, 助手 (70189744) ; 森本 茂人 大阪大学, 医学部, 講師 (20150336) ; 三上 洋 大阪大学, 医学部, 助教授 (80173996)
• キーワード: 本態性高血圧症 / 内因性ジキタリス様物質 / ウアバイン様免疫活性 / 抗ウアドインモノクロナル抗体 / ナトリウム利尿因子

研究概要

本態生高血圧症例の血漿ウアバイン様ナトリウム利尿因子の精製をさらに進めるとともに、部分精製物質の性状につき検討を加えた。本態性高血圧症例の血漿クロロフォルム・メタノ-ル抽出し、抽出物をインプロパノ-ルを移動相としたシアノプロピル順相カラムにより極性に従い分離し、Na^+、K^+ーATPase抑制活性を有する分画を収集した。この分画をさらにテトラヒドロフランを移動相としたNSGー15H分子節カラムにより精製し、さらにシアノプロピル順相カラムおよびNSGー15H分子節カラムにより精製を繰り返し、比較的極性の弱い、分子量約600のほぼ単一ピ-クを得ることができた。一方ウアバインに対するモノクロナル抗体を作成し、この抗体はウアバインのCD環のtranーcis型の立体構造およびラクトン環を認識することを明らかにした。血漿より部分精製したNa^+、K^+ーATPase抑制活性を示す分画の希釈曲線はウアバインの検量線と平行したことから、本因子の構造に、メチル基、水酸基および水素原子がウアバインと同様に同方向に配位し、しかも、ラクトン環構造の一部を含める部位が存在していることが示唆された。今回の系における ^3Hーウアバインのモノクロナル抗体への結合への50%抑制を示すこの分画量は200ml血漿相当量であった。さらにこのモノクロナル抗体を用いたアフィニティクロマトグラフィ-を作成し、この分画の最終精製を行なっている。また血漿中ウアバイン様ナトリウム利尿因子の濃度測定のため、このモノクロナル抗体を用いた免疫測定法を作成中である。

研究成果

• [文献書誌] T.Ogihara,et al.: "Participation of both intracellular free Ca^<2+> and profein kinase C in tonic tonic vasoconstriction induced by prostaglandin F_<2α>." European Journal of Pharmacology. 188. 369-378 (1990)
• [文献書誌] T.Ogihara,et al.: "Effect of Prostaglandin F_<2α> on the mobilization of cytosolic free calcium in vascular smooth muscle cells and on the tension of aortic strips from rats." American Journal of Hyperatension. 3. 241S-244S (1990)
• [文献書誌] T.Ogihara,et al.: "Effects of 1,25ーdihydroxyvitamin D_3 on the synthesis of DNA and glycosaminoglycans by rat aoratic smooth muscle cells in vitro." Life Sciences. 46. 1545-1551 (1990)
• [文献書誌] T.Ogihara,et al.: "Endothelin stimulates Na^+/H^+ exchouge in vascular smooth muscle cells." Biochemistry Internationsl. 20. 375-380 (1990)
• [文献書誌] T.Ogihara,et al.: "Stimulatory effect of 1,25ーdihydroxyvitamin D_3 on transferrin synthesis in primary cultures of adult rat hepatocytes." Biochemistry International. 22. 37-44 (1990)
• [文献書誌] T.Ogihara,et al.: "Nicorandil is a potent dilator of endothelinーinduced vascular contraction." Biochemistry International. 22. 707-715 (1990)