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1989 年度 実績報告書

新しい狭心症治療薬の開発と評価に関する細胞生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 01480250
研究機関九州大学

研究代表者

金出 英夫  九州大学, 医学部, 教授 (80038851)

研究分担者 阿部 志麿子  九州大学, 医学部, 助手 (60192994)
山本 博道  九州大学, 医学部, 助手 (20166820)
キーワード血管平滑筋細胞 / 細胞質Ca濃度 / ヒスタミン / ニトログリセリン / サイクリックGMP
研究概要

本年度は、狭心症治療薬として100年の歴史を持ちながらも、その作用機序が不明であるニトログリセリン(NG)の細胞・分子生物学的作用機序の解明を試みた。これによって新しい狭心症治療薬開発と評価の手掛かりを得ることが可能であろうと考えたからである。豚冠動脈の微小標本にCa指示色素フラ-2を取込ませ、Caー張力の同時測定を行なった。K^+脱分極やヒスタミン(His)は血管平滑筋の細胞質〔(Ca)〕iと張力を用量依存性に上昇させる。同程度に(Ca)iを上昇させた場合、Hisが引起こす張力上昇は、K^+脱分極の場合よりも大であった。NGは、血管の状態の如何に関わらず、すなわち安静状態でも、またHisやK^+脱分極による刺激状態でも、(Ca)iと張力を用量依存的に低下させた。しかしながら、(Ca)i低下に比べると張力低下の程度は、K^+脱分極の際の(Ca)iー張力関係から予測される程度をはるかに越えるものであった。細胞外Ca濃度=0の場合、NGはHis感受性細胞内Ca貯蔵部の貯蔵Ca量を減少させ、また、HisによるCa放出も阻害した。しかしながら、NGはカフェイン感受性Ca貯蔵部の貯蔵Ca量や、カフェインによるCa放出に対して、何の効果も示さなかった。NGは(Ca)iに変化を与えることなくカフェインによる収縮を抑制した。これらの所見から、NGの豚冠動脈弛緩機序として、1.血管平滑筋の(Ca)iを下げること、さらに、2.(Ca)i変化に関係の無い情報伝達物質によって、収縮蛋白質を直接あるいは間接的に制御していることが重要であろう、と考えられた。現在、後者の(Ca)iに関係ない情報伝達物質ーおそらくC-GMPーの平滑筋収縮蛋白質ミオシン軽鎖への作用を明らかにしつつある。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] N.Akaike: "Low-voltage-activated calcium current in rat aorta smooth muscle cells in primary culture." J Physiol. 416. 141-160 (1989)

  • [文献書誌] M.Kodama: "Endothelin-induced Ca-independent contraction of the porcine coronary artary." Biochem Biophys Res Commun. 160. 1302-1308 (1989)

  • [文献書誌] T.Matsumoto: "Histamine-induced calcium transients in vascular smooth muscle cells:effects of verapamil and diltiazem." Am J Physiol. 257. H563-H570 (1989)

  • [文献書誌] K.Kai: "Effects of nicorandil on cytosolic calcium concentrations in quin2-loaded rat aortic vascular smooth muscle cells." J Pharmacol Exp Therap. 251. 1174-1180 (1989)

  • [文献書誌] K.Hirano: "Effects of okadaic acid on cytosolic calcium concentrations and contractions of the porcine coronary." Br J Pharmacol. 98. 1261-1266 (1989)

  • [文献書誌] T.Matsumoto: "Characteristics of the histamine-sensitive calcium store in vascular smooth muscle;Comparison with norepinephrine- or caffeine-sensitive stores." J Biol Chem. (1990)

  • [文献書誌] H.Kanaide: "Recent Advances in Calcium Channels and Calcium Antaginists(Editor:K.Yamada)" Pergamon Press, 176 (1990)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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