研究課題/領域番号 |
01480251
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
福地 総逸 福島県立医科大学, 内科学第三講座, 教授 (60004769)
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研究分担者 |
谷 牧夫 福島県立医科大学, 内科学第三講座, 助手 (10217119)
水野 兼志 福島県立医科大学, 内科学第三講座, 講師 (20128557)
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キーワード | レニン / 副腎 / 大動脈 / 神経細胞 / 細胞内カルシウム / アンジオテンシンII |
研究概要 |
(1)腎以外の臓器内におけるレニンの細胞内存在様式の検討:【○!1】SD系ラットの副腎皮質組織ホモジネイトから、分画遠心法により核(P_1)、重ミトコンドリア(P_2)、その上清(S_2)、軽ミトコンドリア(P_2′)、マイクロゾ-ム(M)および可溶性分画(S)に分離し、各分画中のレニン濃度を測定したところ、P_2が最も高値(〉60%)であった。P_2をPercoll(35%)を用いる密度勾配遠心法にてさらに分離したところ、レニン濃度はミトコンドリアおよびライソゾ-ムとは明らかに比重の異なる分画(1.085〜1.090g/ml)に分離され、電顕的に多数の顆粒を認めた。レニン抗体ー金コロイド複合体を利用する免疫電顕法にて検討した所、顆粒内にレニンの特異的結合が証明された。【○!2】SD系ラットの大動脈ホモジネイトについて検討すると、レニンは副腎と同様、顆粒分画に検出され、その分子量はウエスタンブロッティング法にて検討すると44kであった。【○!3】神経細胞の実験モデルとして確立しているマウス神経芽細胞(Nー2a)を用いて、同様にレニンの細胞内局在を検討した所、レニンは副腎および大動脈におけると同様、顆粒分画に検出された。 (2)レニン放出の検討:SD系ラットの副腎皮質をRPMI1640培地にて1〜24時間組織培養し、レニン放出の有無とその機序について検討した結果、レニンは少なくとも24時間は経時的に放出されることが判明した。さらに、培養液中にカルシウムイオノフォア(A23187)、カルモデュリン拮抗剤(Wー7)またはアンジオテンシンII(AII)を添加した所(いずれも10^<-9>〜10^<-6>M)、いずれもレニン放出を用量依存性に刺激した(A23187、3倍;Wー7、1.8倍;AII、2倍)。(3)結論:腎以外の臓器内レニンは、腎レニンと同様、分泌顆粒中に貯蔵されることを明らかにした。しかし、その分泌機序は、腎レニンとは異なり、細胞内カルシウムの上昇により促進されるものと考えられる。これらの臓器内レニンは細胞外に放出されてのち、AIIを生成することにより、種々の生理作用を発現するものと推察される。
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