研究概要 |
正常多能性造血幹細胞,白血病細胞に対する各種インタ-ロイキン(IL),造血因子(GーCSF,GMーCSF,EPO,LIF,SCF)の作用機構に関する基礎的検討を行った。本年度の主要成績として以下のごとき結果がえられた。 1).ヒト多能性造血幹細胞をin vitroで増殖させるための最も効果的なIL,造血因子の組み合せを,ヒト骨髄細胞,未梢血単核封より分離したCD34陽性細胞を標的細胞としてメチルセルロ-ス法を用いて検討した。ヒトCD34陽性細胞の増殖を最も刺激する因子はILー3,GMーCSF,SCFを組み合せた条件であった。この組み合せにより液体培養下で前駆細胞(CFUーGM,BFUーEなど)は数倍に増幅することが可能であった。 2).マウス骨髄,ヒト骨髄細胞よりそれぞれSCAー1,CD34モノクロ-ナル抗体および各種lineage特異抗体を組み合せたイムノビ-ズを用いて造血幹細胞の純化を行った。最終段階での細胞はマウス,ヒトいずれにおいても約30%〜50%がin vitroでコロニ-を形成した。 3).白血病細胞のなかにはGーCSF,GMーCSF,ILー3(骨髄性),ILー2,ILー6,ILー7,ILー3(リンパ性)に反応しして増殖する例がみられた。 4).純化した造血幹細胞を用いて,各種インタ-ロイキン,造血因子反応後の細胞内Ca^<2+>,PHの変化,PKCを終時的に測定したが,現在の方法では明らかな変化は観察されなかった。 5).培養造血幹細胞を用いたマウス骨髄移植実験は実施できなかった。
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