研究概要 |
1.目的 A.金属ポルフィリンの合成を試み、これらの溶解度を検討した。 B.4.7T高磁場MRI装置を用い、正常大動脈壁及び動脈硬化斑の各信号強度の定量的検討を行った。 2.方法 A.文献に従いMnーTPPS4及びMnーTPPCの合成精製を試みた後、溶解度を検討した。 B.GE CSI 4.7Tを用い、内径5cmの円筒型rfコイルを使用いた。撮像条件はSE法を用い、TR=600msec,TE=11msec,FOV=5cm,スライス厚=1mm,積算回数=8,マトリックスは128x256とした。対象は、生理食塩水と共に内径11mmのNMR菅内に挿入した、実験的動脈硬化班を伴った新鮮摘出会兎大動脈である。撮像後、生理食塩水に対する正常大動脈壁及び動脈硬化斑の各信号強度比を求め、非投与群と投与群間の有意差を検定した。投与群は投与後48時間後の動物を用いた。 3.結果及び考察 A.文献的方法に従ってMnーTPPS4は合成可能であったが、MnーTPPCの合成は不可能であった。pH調整、触媒試薬を加えることで合成を可能とした。MnーTPPS4の溶解度は、市販試薬のそれに比して10%であり、家兎に投与する際には0.03mmol/Kgの投与が上限であった。この低溶解度は、会合現象の関与が考えられる。MnーTPPCの溶解度は良好で0.125mmol/Kg以上の投与は可能であった。 B.投与量は、MnーTPPS4、MnーTPPCに対し、各々0.03mmol/Kg、0.125mmol/Kgとした。各投与群には致死的幅作用は認められなかった。正常大動脈壁では、MnーTPPS4及びMnーTPPC共にほぼ同等の有意な信号強度増加を認めた。4.7TMRI装置を用いれば、0.03mmol/Kgの低投与量でもMnーTPPS4にて正常大動脈壁の描出が可能であった。動脈硬化斑では、両者共に若干の信号強度の増加を認めたが、非投与群と投与群間の有意差は認められなかった。新たな製剤学的工夫もしくはより特異性を有する新規化合物の検索を必要としている。
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