研究概要 |
今年度は、造影剤の副作用のリスク因子を、更に多数例を使って解析する一方、低浸塔圧造影剤の副作用の発現率について、関連三施設で調査を行い、その安全性を再確認した。 リスク因子の統計解析には、337,647例を使ってロジスティック解析法を使った。まず、患者の背景因子についてマ-ジングを行い。夫々のリスクをオッズ比で出した。1.何が重要なリスク因子か?オッズ比で示すと次のとおりであった。非イオン性造影剤は、従来のイオン性造影剤に比べと5.6倍安全である。造影剤副作用の既住のある者は4.7倍、喘息患者では10倍、心疾患を有する者は3倍であった。2.リスク因子が重なった場合の副作用発現率はどうなるか?副作用歴を有する者で、喘息と心疾患があるものでは、イオン性造影剤で12.13%、非イオン性造影剤で2.40%である。副作用歴がない者で、喘息と心疾患を有するものは、イオン性で2.87%、非イオン性で0.52%の副作用発現率である。造影剤使用歴がない者で、喘息・心疾患を有する場合は、イオン性で5.29%、非イオン性で0.99%である。副作用歴有,喘息・心疾患者有の群では、副作用歴無,喘息・心疾患無の群に比べて副作用の発現は120倍である。3.非イオン性造影剤使用で副作用症状がどの程度軽減されるか?急激な血圧低下8.3倍、意識消失7.5倍、心停止7.0倍、呼吸困難4.6倍、以上が主だった結果である。来年度は論文にまとめる予定である。 関連三施設での再調査は、すべて低浸透圧造影剤使用であったが、副作用全体の発現率は6.6%であった。重篤な副作用は0であった。詳しいデ-タは既に日医放会誌に投稿、印刷中である。
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