研究概要 |
平成2年度までに得られたデ-タの論文掲載と、新しいデ-タの分析、ならびにその論文制作を行った。前者に対しては1991年Contrast Media Research(英国ケンブリッジ市)において発表し、大きな反響を呼んだ。その内容はInvestigative Radiology21巻追補1,S33ー36 1991年11月に掲載された。その内容の概略は以下のごとくである。(1)何が重要なリスク因子か?ヨ-ド造影剤に対する重篤な副作用に対するイオン性高浸透圧造影剤の、非イオン性低浸透圧造影剤のオッズ比は5.61(4.13〜7.63)であった。以下、重篤な副作用に対するLogistic regression Modelで推定されたパラメ-タのオッズ比は、ぜン息/アレルギ-無し;10.09、造影剤に対する副作用歴有り/副作用歴無し;4.68、心疾患/他の疾患;3.02、予備テスト陽性群/陰性群;1.63、造影歴なし/造影剤歴あり、副作用なし;1.89が主なものであった。(2)リスク因子の副作用はどう変わるか?同様にLogistic Regression Modelを用いて、重篤な副作用の発症率を予測してみた。副作用歴のある例でぜん息と心疾患をもつ例では、イオン性で12.13%、非イオン性で2.40%であった。副作用歴がない例で心疾患もアレルギ-歴もない例では、イオン性で0.10%、非イオン性で0.02%であった。この両群の間には120倍もの開きがあることが分かった。副作用の臨床症状の面においても、非イオン性低浸透圧ヨ-ド造影剤があらゆる症状に対して有利であることが確認された。後者に対しては、第1群として、日本医学放射線学会にその結果を掲載し、現在、第2報が同会誌に受理され、印刷中である。その結果の概要は以下の通りである。低浸透圧ヨ-ド造影剤の副作用は全例4,555例中70%であった。重篤な副作用は認めていない。細部における分析結果においても、われわれの既報のデ-タと大きく変わることなく、低浸透圧造影剤の有用性が確認された。
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