研究概要 |
新抵酸素圧細胞放射線増感剤ニトロイミダゾ-ル系核酸類似物質RPー170の生物学的特性を検討した。 1.RPー170のマウス体内での薬物動態を検討した結果、血中濃度の最大値はi.v.,i.p.,p.o.投与後各々<5,15〜20,30分後に現れた。腫瘍内濃度の最大値は各々15〜20,25〜30,40〜45分後に現れた。 2.i.v.,i.p.,p.oの各投与法においてRPー170の放射線増感解果における至適投与タイミングを検討した結果、各々照射20,30,40〜45分前にRPー170を投与した場合に増感効果は最大となった。この結果よりどの投与法においても腫瘍内濃度の最大時間と増感効果の最大時間との間には約5分のずれがあることが明らかになり、増感剤の投与時間の設定はこの"ずれ時間"を加味する必要が示唆された。 3.Etanidazole(ETA)について同様にp.o投与後のマウス体内での薬物動態、増感効果を検討した。血中濃度、腫瘍内濃度の最大値はETA投与後各々30,60分に現れ、その最大濃度はRP-170の約半分であった。この低い吸収濃度を反映して増感効果もはっきりせず、90分後に増感効果は一応最大値を示したものの効果の程度はRP-170の1/2程度にとどまった。 4.RP-170とETAとを比較するとi.v.投与ではRP-170が少し高い増感率を示した。100mg/kg投与後の増感率はin vivoーin vitro assayではRP-170のi.v.,p.o.投与で各々1.42,1.35,ETAのi.v.投与で1.40であった。 5.RP-170とETAの細胞内nonーproteinSH(NPSH)低減効果をin vitroレベルで検討した。5mMRP-170処理後、細胞内NPSHはaerobic,hypoxic下で各々51.5,36.6%に減少した。5mMETAでは各々73.0,58.2%に減少した。今後は他の誘導体についても検討し増感剤の電子親和性や分配係数との相関性を検討してみたい。
|