研究概要 |
RPー170の経口投与の可能性を検討した。RPー170は水溶性が高く経口投与ではEtanidazole同様血中、腫瘍内濃度の上昇は期待できないと懸念したが予想に反して血中、腫瘍内濃度とも比較的高く、マウスでの腫瘍内濃度は静脈内濃度の81%が得られた。分配係数を表すp値から予想されるoral bioavailabilityは64%程度であるが、マウス、ビ-グル犬ともにこれを上回る値を示していた。増感効果は腫瘍内濃度を反映して静脈内、腹腔内投与よりは劣るもののその最大値は比較的長く持続した。さらに急性毒性はマウス、ラットでのLD_<50>が静脈内投与では各々4.3g/kg,3.3g/kgであるのに対し、経口投与では5.2g/kg,4.6g/kgと増加し静脈内投与よりやや低毒性を示すことが明らかになりRPー170は経口投与も十分可能であると判断された。 一方、2ーニトロイミダゾ-ル、3ーニトロー1、2、4ートリアゾ-ル、5ーニトロウラシル系増感剤について、増感剤処理後の細胞内nonーproteinSH(NPSH)濃度とそれらの放射線増感剤のp値(log p),還元電位を表すE_<1/2>値の間の相関性を検討したところ,Aerobic条件下の細胞内NPSH濃度はE_<1/2>値との間で相関係数γ=0.039,p値(log p)との間ではγ=-0.652,Hypoxic条件下の細胞内NPSH濃度は、E_<1/2>との間では、γ=-0.091,p値(log p)との間では、γ=-0.727となり、Aerobic条件、Hypoxic条件共に細胞内NPSH濃度とE_<1/2>値ではほとんど相関性はなく、細胞内NPSH濃度とp値の間に高い相関性が得られた。また、放射線増感剤処理後の細胞内NPSH濃度、それらの放射線増感剤のE_<1/2>値、p値(log p)と増感率(ER)との間の相関性を見ると、細胞内NPSH濃度(Hypoxic条件下)とERの間ではγ=0.788,E_<1/2>値とERとの間ではγ=0.331,p値(log p)とERとの間ではγ=0.690となり,ERと細胞内NPSH濃度、p値の間に高い相関性が得られ、ERとE_<1/2>の間ではほとんど相関性がないことが判明した。
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