研究課題
徐波睡眠誘発物質として期待されるDSIPおよび、睡眠に依存して分泌されることが知られている成長ホルモン(GH)を中心として、引き続き以下の実験を行った。ラットの体温調節について、DSIPはドパミンの体温低下作用を増強することを見出したが、さらにセロトニンアゴニスト・アンタゴニストを用いた実験によって、セロトニンが両者の働きを仲介していることを証明した。即ちDSIPはセロトニンにまず働く作用が一次的であることが示唆された。ヒト血中DSIPの分泌パタ-ンの特徴を前年度に検討したが、これとGHの分泌リズムを比較したところ、予備的ではあるが両者の分泌リズムは互いに逆の関係にあるように思われた。GHの分泌が亢進する睡眠時にはDSIPは概して低濃度で、同様の関係は睡眠相を遅らせた場合にも維持されているように思われた。ラットでの24時間血中DSIP分泌パタ-ンも、4時間毎の連続採血で検討を始めているが、休止期である昼間に低値の傾向があり、ヒトの結果と類似していた。超高感度測定法を応用したヒトGH分泌と睡眠覚醒リズムの関連については、サ-カディアンリズムを思わせる基礎分泌パタ-ンの存在を既に認めている。さらに、入眠時に観察されるGH分泌の亢進についても、入眠前からGH値の上昇が始まっているような所見がしばしば見られるので、現在5分毎に採血してより詳細な検討を行っている。さらにプロラクチンについては睡眠中に高値で、分泌パタ-ンは睡眠依存性のみを示し、明確なサ-カディアンリズムは認めなかった。睡眠段階との関連では、REM期が分泌のトリガ-的な役割をもつことが示唆された。甲状腺刺激ホルモンについては、断眠実験によって、本来は夜間に高値をとる分泌リズムが睡眠によって分泌抑制がかかり、平坦なパタ-ンとなることが判明した。
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