研究課題/領域番号 |
01480287
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
橋爪 潔志 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (60092889)
|
研究分担者 |
市川 和夫 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (40159835)
|
キーワード | 細胞質甲状腺ホルモン結合物質 / 甲状腺ホルモン受容体 / ホルモン情報 / 情報伝達因子 / Acceptor蛋白 / NADPH / NADP |
研究概要 |
甲状腺ホルモン作用は細胞核受容体を介し、ホルモン応答性遺伝子の発現調節を行う。受容体への情報は、細胞質甲状腺ホルモン結合蛋白によって伝達される。この細胞質ホルモン結合蛋白をラット腎より精製し、その機能を確立した。NADPH依存性の結合蛋白は、分子量58.000で1分子に1分子のT_3を結合する。このNADPH依存性結合蛋白は、-SHの存在下でNADPによっても活性化される。NADPH活性型結合蛋白にはホルモン貯留効果は有するが、ホルモン輸送機能を持たない。NADP活性型結合蛋白は貯留効果よりもむしろホルモン輸送担体として作用する。 ラット腎核には甲状腺ホルモン受容体が存在し、DNAに結合する。しかし、NADP活性型結合物質はDNAに結合しない。核受容体抽出後の、クロマチンにNADP型結合物質は特異的結合を示し、このクロマチンにNADP活性型ホルモン結合物質のacceptorが存在する。このacceptor蛋白は、分子量約20万でDNaseIで処理した核基質に再構成され、この再構成されたacceptor蛋白にNADP活性型結合物質は結合した。 以上より、細胞質甲状腺ホルモン結合蛋白はNADPHにより貯留型となって存在するが、細胞内にとり入れられたホルモン情報を、NADP-NADPH係で調節されながら、核受容体にT_3を渡し、遺伝子発現を調節するものと考えられた。
|