研究概要 |
アンドロゲン受容体異常症により発症する疾患として,睾丸性女性化症完全型,睾丸性女性化症不完全型,及びReifenstein症候群の3家系の患者のpubic skinをpunch biopsyし,collagenase処理にて得た皮膚線維芽細胞を培養し, ^3HR1881をリガンドとしてアンドロゲン受容体を測定した。睾丸性女性化症完全型ではアンドロゲン受容体は欠損,不完全型では著明なアンドロゲン受容体の数の減少とReifenstein症候群ではアンドロゲン受容体の数及び親和性に異常を認めなかったが,熱に不安定な性質を持っていた。これらアンドロゲン受容体の異常がアンドロゲン受容体のDNAレベルの異常であるかどうかを明らかにするためChangらにより1989年にcloningされたアンドロゲン受容体DNAの各エクソンについて,それぞれの近傍部イントロンに設定したプライマ-を用い,患者ゲノムDNAをPCRにて増幅後サブクロ-ニングし,塩基配列の決定を試みた。アンドロゲン受容体のcDNAフラグメントをプロ-ブとしたSouthern blot解析では正常者と比してゲノム遺伝子のRFLPは認められなかった。睾丸性女性化症完全型の症例においてPCR法にて第8エクソンにTAT(Tyr)→CAT(His)の点突然変異が証明された。現在この点突然変異を持つアンドロゲン受容体cDNAを作成し(siteーdirected mutagenesis),これをCOS細胞にtransfectし,そのmRNA,Western blot解析及び受容体の結合実験を行い,この点突然変異によってアンドロゲン完全耐性の起こる機構について検討中である。またReifenstein,睾丸性女性化症不完全型におけるDNAレベルの点突然変異についてPCR法にて検索中である。
|