研究課題/領域番号 |
01480297
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
青木 延雄 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (20048937)
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研究分担者 |
三浦 修 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10209710)
加藤 淳 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50183265)
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キーワード | アルファ2プラスミンインヒビタ- / 先天性欠損症 / α_2PI-Okinawa / α_2PI-Nara / 遺伝子変異 / フレ-ムシフト変異 |
研究概要 |
先天性α_2-plasmin inhibitor(以下α_2PI)の先天性欠損症2家系について、遺伝子変異と欠損の分子的基礎を明らかにした。2家系ともにサザンブロット分析で検出可能な遺伝子の欠失・組換えなどの異常は認められなかったので、ホモ接合体の遺伝子をクロ-ニングし、すべてのアミノ酸コ-ド領域を含むエクソンとその周囲のイントロン部分につき塩基配列を分析した。その結果、1家系では、第10エクソンのα_2PIC末端をコ-ドする領域に1塩基Cの挿入を認めた。このフレ-ムシフト変異によりα_2PIC末端の12個のアミノ酸残基は、全く異なった178個のアミノ酸残基に置換され延長することが予想される(ホモ接合体の出生地名よりα_2PI-Naraと命名)。また、α_2PI欠損症発見の最初の家系に当たる他の1家系では、第7エクソンのGlu137の欠失をもたらす3塩基の欠失を認めた(α_2PI-Okinawaと命名)。これら2つの遺伝子変異は、オリゴヌクレオチド・プロ-ブを用いた検討でそれぞれの家系の他の成員にも認められ、その存在様式と欠損症の形質とはよく一致したため、これらが欠損症の原因となる遺伝子変異と考えられた。そこで、分子異常症を引き起こすと予想されるこれらの遺伝子変異から欠損症に至る機序を解明するため、これらの遺伝子変異を有するα_2PIの発現プラスミドを構築し、COS細胞に導入して発現実験を行った。その結果、mRNAのレベルには正常と差が認められなかったが、ELISA法によるα_2PI抗原量測定および免疫沈降法による^<35>Sメチオニン標識α_2PIの分析で、変異α_2PIはともにエンドグリコキシダ-ゼHに感受性を有する前駆体として大部分が細胞内に遅滞し、上清には正常の約4〜20%のみしか分泌されないことが判明した。すなわち、これらの家系では、変異により生じた変異α_2PI分子が、その立体構造の変化により、その細胞内輸送に障害を受け欠損症に至ったものと考えられる。
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