研究課題/領域番号 |
01480301
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高月 清 熊本大学, 医学部, 教授 (80026830)
|
研究分担者 |
松崎 博充 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30136725)
服部 俊夫 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (30172935)
|
キーワード | 造血器腫瘍 / 成人T細胞白血病(ATL) / B細胞腫瘍 / 発癌機構 / レトロウィルス / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 |
研究概要 |
成人T細胞白血病(ATL)はHuman Tーcell leukemia virus(HTLV)ー1というレトロウィルスによって発症するヒトの癌であるが、その分子遺伝子学的解明は単にATLの発症解明にとどまらず、広くヒト発癌における重要な問題である。そこで我々はATL患者において癌抑制遺伝子の一つであるP53と、癌遺伝子の一つであるras遺伝子との塩基列を検討し、10例中5例にP53遺伝子の、10例中1例にras遺伝子の突然変異があることを明らかにした。これらの突然変化を生じた遺伝子がATL発症に深く関わっている可能性があり、さらに詳細な検討を予定している。また肺小細胞癌と診断された患者から細胞株の樹立に成功し検討したところ、この細胞株はHTLVー1プロウィルスを保有し、T細胞受容体遺伝子をも再構成していることから、DNA診断からいえばATLであるが、その細胞表面のT細胞受容体や、その他のT細胞抗原が認められず、表面形質は肺小細胞癌にきわめて類似していた。またこの細胞表面上にはHTLVー1のenvelope蛋白も発現されておらず、この点からもATL由来細胞株とは異なっていた。この特異な細胞株と典現的なATL細胞株との比較検討はATL発症機序の理解につながる。また細胞表面へのenvelope発現機序を解明することが、ATLの治療開発にもつながる可能性がある。我々はその他(8j4)転座と(14j18)転座との2つの転座によってcーmycとbclー2という2つの癌遺伝子が活性化されている急性Bリンパ細胞性白血病や、Bq34の部位で転座を示し、おそらくそこに存在する未知の癌遺伝子が治性化されていると思われる。急性Bリンパ細胞性白血病由来の細胞株の樹立にも成功しており、これらの細胞株を用い、B細胞腫瘍の発症機構の解明をも試みつつある。
|