研究課題/領域番号 |
01480301
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高月 清 熊本大学, 医学部, 教授 (80026830)
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研究分担者 |
麻生 範雄 熊本大学, 医学部, 助手 (50175171)
松崎 博充 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30136725)
服部 俊夫 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (30172935)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | 癌遺伝子 / 成人T細胞白血病 / 多発性骨髄腫 / 染色体 / 細胞株 / サイトカイン / 免疫グロブリン / T細胞受容体 |
研究概要 |
造血器腫瘍、なかでも成人T細胞白血病、急性リンパ性白血病、多発性骨髄腫などのリンパ性腫瘍の発癌機構について解析を試みた。そのために、特に染色体異常を示す疾患からの細胞株の樹立を試みた。 1)高アミラ-ゼ血症を示した骨髄腫患者から、アミラ-ゼ産生骨髄腫細胞株(KHMー1)を樹立した。その細胞株の染色体にはアミラ-ゼ遺伝子とab1癌遺伝子付近での相互転座が認められ、転座によるアミラ-ゼ遺伝子が活性化されている可能性が示唆された。またこの細胞株はILー6とTNFーαとの2つのサイトカインに対してautocrineによる増殖を示した。 2)2つの癌遺伝子(cーmycとbclー2)が発現されている細胞株(KHMー2B)を急性リンパ性白血病患者より樹立した。この細胞株は(8;14)と(14;18)という2つの転座をもっており、cーmyc(第8染色体)とbclー2(第18染色体)の2つの癌遺伝子が免疫グロブリン遺伝子(第14染色体)の部位に転座して活性化されたために発癌したものと考えられた。 3)12例のacute unclassified leukemia(AUL)の患者で免疫グロブリン(Ig)とT細胞受容体遺伝子(TCR)の再構成の有無について検討した。その結果かなりの例でIgとTCRの両方が再構成を示しており、しかもその再構成の多くは無効なものであった。したがってAULは異常再構成を示す未分化な細胞由来の腫瘍であると考えられた。 4)成人T細胞白血病(ATL)の急性型では癌抑制遺伝子であるp53の突然変異が高率に認められたことから、ATLの慢性型から急性型への転換にp53の突然変異が関与しているのではないかと考えられた。また一方急性型ATLの細胞表面上には、T細胞受容体とCD3複合体がほとんど認められず、この現象もATLの慢性型とは異なっていた。この解析は悪性度の高い癌へ移行する機序を理解するために重要である。
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