ヒト巨核球造血の調節機序に関する基礎的ならびに臨床的研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01480302
• 研究機関: 東京女子医科大学
• 研究代表者: 溝口 秀昭 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70049021)
• 研究分担者: 寺村 正尚 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40188686) ; 山田 修 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30167712) ; 押味 和夫 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (40089991)
• キーワード: 巨核球コロニ-刺激因子 / 巨核球増幅因子 / トロンボポエチン / GMーCSF / GーCSF / ILー3 / エリスロポエチン

研究概要

1,ヒト骨髄細胞を軟寒天に埋め込み、無血清で巨核球コロニ-の形成を観察した。ILー3とGMーCSFに巨核球コロニ-刺激因子(MegーCSF)の活性を認めた。また、エリスロポエチンとMーCSFは単独ではMegーCSFの活性はないが、ILー3あるいはGMーCSFと共に加えると巨核球コロニ-数を増加させる作用がある。つまり、これらの造血因子には巨核球増幅因子(MegーPOT)の作用がある。また、これらはコロニ-構成巨核球をDAPI染色(DNA染色)と血小板糖蛋白IIb/IIIaの免疫染色の二重染色を行い、巨核球のDNA含量を顕微分光光度計で測定した。その結果、ILー3あるいはGMーCSFだけの添加では2Nの巨核球が約50%、4Nの巨核球が約30%であり、8N以上の巨核球は殆ど認めなかった。しかし、エリスロポエチンあるいはMーCSFをそれに添加すると4N〜16NのDNAを含む巨核球の数が有意に増加はた。したがって、これらの造血因子はinvivoでも血小板産生の調節に関与している可能性があることを示した。
2.上記のヒト巨核球コロニ-法で血小板産生の異常のある患者骨髄中の巨核球コロニ-形成細胞の検討を行っている。
3.血小板減少症患者の尿を集め、部分純化し、上記のヒト巨核球コロニ-の培養系に加えてコロニ-形成に与える影響を検討したところ単独ではコロニ-数の増加は認められなかったが、ILー3と共に加えるとコロニ-数が増加することから、MegーPOTの活性を認めた。この活性を目安に、このMegーPOTの純化を進めている。
4.血小板増加を伴う白血病症例3例から白血病細胞を集め、それから本研究費で購入した巨大DNA分離用電気泳動装置でDNAを分画中である。トロンボポエチンの遺伝子が乗っている可能性がある3番目の染色体長腕の遺伝子分析をする予定である。

研究成果

• [文献書誌] Mizoguchi H: "Hemopoiesis and immune mechanisme" Acta Haematologica Japonica. 52. 1251-1257 (1989)
• [文献書誌] Masuda M,Takanashi M,Motoji T,Oshimi K,Mizoguchi H: "Effect of recombinant interterons on hairy cell leukemia progenitors" International Jounal of Cell Cloning. 7. 120-128 (1989)
• [文献書誌] Hoshino S,Teramura M,Takahashi M,Motoji T,Oshimi K,Ueda M,Mizoguchi H: "Expression and characterization of erythropoietin receptors on normal human bone marrow cells" International Jounal of Cell Cloning. 7. 156-167 (1989)
• [文献書誌] Sato T,Fuse A,Eguchi M,Hayashi Y,Ryo R,Adachi M,Kishimoto Y,Teramura M,Mizoguchi H,et al: "Estabishment of a human leukaemic cell line(CMK)with megakaryocytic characteristics from a Down's syndrome patient with acute megakaryoblastic leukaemia" Britishi Jounal of Haematology. 72. 184-190 (1989)
• [文献書誌] Teramura M,Katahira J,Hoshino S,Motoji T,Oshimi K,Mizoguchi H: "Effect of recombinant hemopoietic growth factors on human megakaryocyte colony formation in serum-free cultures" Experimental Hematology. 17. 1011-1016 (1989)
• [文献書誌] Mori N,Yokota J,Oshimura M,Cabenee WK,Mizoguchi H,Noguchi M,Shimosato Y,Sugimura T,Terada M: "Concordant deletions of chromosome 3p and loss of heterozygosity for chromosones 13 and 17 in small cell lung carcinoma" Cancer Research. 49. 5130-5135 (1989)