無アルブミン(NAGASE)ラットの脾内にcongeneicな、すなわちnonimmunogeneicなアルブミン産生肝細胞を移植し、血清アルブミン値および脾の形態学的検索より、先天的肝酵素欠損ラットに対する肝細胞移植の効果を検討した。 移植後血清アルブミン値は徐々に上昇し、最高値で88mg/dlに達した。 しかし、正常ラットアルブミン値に比較するとたかだか約4%に過ぎない。 移植後16カ月後に犠牲死させて移植肝細胞の生着を検索した結果では脾の27ー41%を占居していた。H.E.染色ではwhite pulpの周囲に索構造をもつ肝細胞が生着し、sinusoid腔も明らかであった。また、アルブミンの免疫染色では鮮明に胞体に存在するアルブミンを染色した。電顕学的にもbiliary surfaceおよびvascular suface そしてOrganelleもほぼ正常肝細胞に類似していた。 以上の結果は移植肝細胞は脾内で徐々に増殖し、機能を発揮することを示すものである。アルブミン産生量から見て正常肝の約4%はあまりにも少なく、今後移植肝細胞の急速な増大方法が検討されなければならない。 しかし、先天的肝酵素欠損症患に対しては全肝機能を補助をするという必要はなく、欠損酵素を病期の早い時期に少しでも補うことにより、それを敏感に感じ、反応(Receptor)してくれる可能性が充分あり得るものと考える。
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