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1989 年度 実績報告書

小児固型腫瘍におけるP-糖蛋白の発現と予後との関係に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 01480306
研究機関東京大学

研究代表者

橋都 浩平  東京大学, 医学部(病), 助教授 (50180815)

研究分担者 福里 利夫  東京大学, 医学部・病理, 助手 (50134531)
岩中 督  東京大学, 医学部(病), 助手 (90193755)
河原崎 秀雄  東京大学, 医学部(病), 講師 (60115475)
中條 俊夫  東京大学, 医学部(病), 教授 (70050367)
キーワードP-糖蛋白 / 神経芽腫 / 薬剤耐性
研究概要

神経芽腫症例64例について、その腫瘍組織を、P-糖蛋白に対するモノクロ-ナル抗体で染色し、その発現を検討した。これを、患児の年齢、組織型、病期、術前化学療法の有無、予後と相関があるかを統計学的に検討を行った。
この結果、P-糖蛋白陽性例は、31例で、このうち25例が生存している。一方、P-糖蛋白陰性例は33例で、このうち生存例は17例であった。これは統計学的に有意の差であり、P-糖蛋白は、予後良好な症例に多く発現していることが明らかとなった。また年齢との関係では、P-糖蛋白陽性例31例中1歳未満の症例は、22例であり、P-糖蛋白陰性例33例中1歳未満の症例は13例であった。これも統計学的に有意の差であり、P-糖蛋白はより年齢の低い例に、多く発現していることが明らかとなった。
以上の結果は、多剤耐性蛋白としてのP-糖蛋白の性格とは矛盾するものであり、神経芽腫においては、白血病細胞などとは異なる意義を持っているものと考えられた。そこで、正常副腎髄質において、P-糖蛋白が発現しているかどうかを検討した。成人の剖検症例の副腎髄質を、全く同じ方法で染色し、P-糖蛋白が発現していることを確認した。またサル胎児の副腎髄質についても、同様な検討を行ったところ、やはりP-糖蛋白が発現していることが明かとなった。
以上の点より、P-糖蛋白の腫瘍細胞における発現には、臓器特異性があり、必ずしも予後不良のサインとはいえないと思われる。従って、多くの腫瘍組織での検討を行い、それぞれの腫瘍における意義を見いだす必要があると考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 尾花和子,橋都浩平,中條俊夫,河原崎秀雄,他: "神経芽腫細胞における耐性蛋白(P-glyoprotein)の発現" 小児がん. No.25. 312-315 (1989)

  • [文献書誌] 橋都浩平,中條俊夫,河原崎秀雄,岩中督,他: "Prader-Willi症候群に合併した肝芽腫の1例" 小児がん. No.26. 124- (1989)

  • [文献書誌] 田中潔,中條俊夫,橋都浩平,河原崎秀雄: "睾丸固定後に発症した悪性睾丸腫瘍の一例" 小児がん. No.27.

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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