研究概要 |
重症感染症下において各種のエネルギ-基質の投与が蛋白合成率,蛋白分解率およびロイシン酸化率にどのような影響を与えるかを評価する方法として〔1ー ^<14>C〕ーロイシンのconstant infusion法を用いる事としたが,本年は以下に述べる予備実験I,IIを行い,適正なアイソト-プ投与量,採血時間,呼気採取時間を決定,本法実施の詳細に関して確立するに至った。本法は,重症感染症下など代謝亢進状態における蛋白代謝動態の解析法としては ^<15>Nーグリシンのconstant infusion法など他の方法に比べ,理論的に最も優れた方法であるといわれながら,血中 ^<14>Cーロイシン比活性測定の技術的困難性から広く普及するには至らなかった方法である。 1.血中 ^<14>Cーロイシン比活性の測定(I) 638ー30型高速液体クロマトグラフ(日立:以下HPLCと略)と放射性液体サンプル連続測定装置(FLOーONE Beta:パッカードジャパン:以下千FLOーNNEと略)との接続システムを組立てた。HPLCカラムは4.0mmID×150mm,充填剤は陽イオン交換樹脂#2619F(日立ゲル),HPLC溶媒は835型日立アミノ酸自動分析用溶媒:PFー3,温度55℃,検出系はOPA試薬,励起波長:360mm,蛍光波長:440mmで測定した。FLOーONEについては,シンチレ-タ-としてのフロ-シンチIVを用い、HPLC溶媒とFLOーONE用シンチレ-タ-との流量比=1:3とした。(HPLC流量=0.4ml/min)アミノ酸混合標準液およびイヌの血漿の2%スルホサリチル酸除蛋白上清に微量の ^<14>Cーロイシンを添加した試料の両者についてHPLCーFLO ONEシステムでロイシン濃度と ^<14>Cーロイシン放射能を分離,検出することが出来た。 2.〔1ー ^<14>C〕ーロイシンのconstant infusion法のプロトコ-ルの決定:(II). in vivoに於て,十分測定可能な血中 ^<14>Cーロイシン比活性が得られるだけの ^<14>Cーロイシン注入量を決定した。また ^<14>Cーロイシン静注開始後,血中 ^<14>Cーロイシン比活性および呼気中排泄 ^<14>CO_2放射能のplateau到達時間がそれぞれ10時間,15時間であることが明らかとなった。
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