研究概要 |
平成元年度にSD系ラツトにOKー432,proteoseーpeptone(pp)あるいは生食水を腹腔内投与した場合の抗腫瘍効果,および健常者末梢血好中球をOKー432あるいはpp添加培地で培養刺激した場合の,好中球数とその貧食能(CL活性)の変動を経時的に観察した。またSD系ラツト腹腔内へ顆粒球コロニ-形成刺激因子(GーCSF)を投与した場合の腹腔内あるいは末梢血中の好中球増加程度を経時的に観察し前回報告した。本年度はGーCSF(KU2228とrhGーCSFを使用,10μg/匹)とOKー432(5KE/匹)をラツト腹腔内へ単独あるいは併用投与した場合のCL活性増強程度と,MRMTー1に対する抗腫瘍効果を検討し以下の結果を得た。1.OKー432とGーCSFを腹腔内併用投与すると,腹腔内遊出好中球数はOKー432単独投与時(2×10^7個で24時間目にpeak)に比べ,KW2228では6×10^7個に,rbGーCSFでは4×10^7個に増加し,12時間目にpeakを認めた。しかし,CL活性はOKー432単独投与時と比べ,CSF併用による増強効果は認められなかった。2.OKー432とKW2228を腹腔内へ単独,あるいは併用投与し12,24あるいは48時間目に1×10^6個のMRMTー1腫瘍を腹腔内注入移植した場合,生存日数はOKー432単独投与の場合は48時間目移植群で最も優れていたが,KW2228単独投与の場合は延命効果は観察されなかった。またOKー432とKW2228を併用投与した場合,OKー432単独投与時に比べ,OKー432先行投与後KW2228を併用投与した場合には生存日数は更に延長したが,KW2228先行投与後OKー432を併用投与した場合には延命効果はみられなかった。以上の結果,GーCSF腹腔内投与により末梢血および腹腔内に好中球が多数動員されたが,動員好中球の貧食能増強効果は軽度であった。またGーCSFはOKー432により刺激誘導された好中球の抗腫瘍活性を更に増強したが,GーCSFにより局所へ動員された好中球をOKー432で刺激した場合は抗腫瘍活性増強程度は軽度で,OKー432とGーCSFで動員される好中球亜型には差が存在する可能性が示唆された。
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