研究概要 |
平成2年度においては,輸血の腫瘍増殖促進効果について,C_3H/HeN.マウス(Hー2^k)と同系のX5563骨髄腫を用いて,このマウスにC_3H/HeN,BALB/c(Hー2^b),C57BL/10(Hー2^a)の全血0.3mlを尾静脈から輸血する実験をbaseとして更に細かい解析および前年度の実験の追試を行った。即ち,(1)腫瘍を移植していないマウスの脾細胞,腫瘍を移植せずしかも同種輸血したマウスの脾細胞,担癌マウスで同種輸血した脾細胞のそれぞれを採取し,TNPーCTLを測定した。担癌で輸血したものが一番活性が低く,更に正常マウスで輸血したもの,正常マウスで無処置の順に活性の上昇がみられている。(2)輸血時期の検討でも,腫瘍移植7日前と移植後0日目+2日目の比較,7日前と9日後の比較,7日前と14日後の比較等を,腫瘍径・YACー1を標的としたNK活性・TNPーCTL等でin vivo,in vitroの両面から検索した。腫瘍移植前であろうと,後であろうと,ほぼ同程度の抑制が見られることが判明した。(3)成分輸血についても検討した。即ち赤血球のみ,単核球のみ,血漿のみをそれぞれ尾静脈から0.3ml移入したところ,腫瘍増殖・生存率の面から,単核球成分のみに輸血と同様の効果がみられている。(4)術中輸血モデルからの解析ーより床臨に近いモデルとして,腫瘍移植後,腫瘍を切除すると同時に同種輸血を行なった。輸血群は非輸血群とくらべて有意差をもって,抗腫瘍性CTL,TNPーCTL,NK活性の低下がみられた。
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