1)異所性部分肝移植手技の確立 子豚の全肝を摘出後、bench surgergにて左内外側葉を分離し、この肝左葉をrecipient肝をそのままにして肝下部に異所性に移植した。グラフトの肝静脈をrecipientのIVCとの吻合部位、グラフトの門脈を長めにして行なう門脈・門脈吻合、recipientの肝門周囲の徹底した血流遮断を工夫して行なうことにより機能する移植肝を得ることが可能となった。未だ安定した成績を得るに至っていないが5週以上生存した症例もある。 2)同所性生体部分肝移植手技の確立子豚の肝左葉(左内側葉、外側葉)をgraftとして、全肝を摘出したrecipientに同所性に移植した。donorよりの部分肝の採取、recipientの全肝摘出手技には熟練を要するが豚における生体donorからの同所性部分肝移植により5日以上の生存を得た。しかもこれらの移植肝において再生肥大がみられ十分機能していることを確認した。 3)部分肝のgraft sizeの検討と免疫反応recipientに必要な移植肝のsizeを検討するためrat同所性部分肝移植の手術手技を用いて移植肝のsizeと再生について検索した。同系の30%部分肝移は、全肝移植とほぼ同様な生存率を示し、移植肝重量は術後5日目にほぼ元の肝重量まで回復した。組織学的には肝細胞の核分裂像は術後2日目に多数認めたが、5日目には減少し稀となった。 一方、20%部分肝では術後の肝障害は30%部分肝に比べ増強しており、生存率は著しく低下した。20%部分肝移植後は肝ATPの再合成能の低下、及びエンドトキシン血症が30%部分肝に比べ強く認められた。以上の結果、少なくとも30%以上の部分肝移植であればrecipientの生命を維持できることが判明した。又ラット30%部分肝移植モデルにおけるFK506CyAの免疫抑制剤の検討ではCyAに比べてPK506の方が肝障害が少ないようであった。
|