現時点での実験成績について概略を報告します。 〔方法〕動物は雑種成犬23頭を使用し、単開腹(A群)、70%膵切除(B群)、70%肝切除(C群)、70%膵70%肝同時切除(D_1群)、および70%膵40%肝同時切除(D_2群)の5群を作成した。各群について術前、開腹後、膵切除後、肝切除後、閉腹後、術後4、8、12、24時間、2、3、5日、1、2、3、4週間目に採血し、各種生化学検査を施行した。また、スワンガンツカテ-テルおよびレ-ザ-ドップラ-血流計による術中術後の全身および門脈の循環動態を測定した。さらに、術死時あるいは術後4週間目に屠殺し、各臓器をホルマリン固定し病理組織学的検索をおこなった。尚、術中術後は輸血は行なわれず、糖電解質液輸液のみで管理した。 〔成績〕1)術死率:A群およびB群0%。術後24時間以内死亡率:C群66.7%、D_1群100%、D_2群30.8%。術後72時間以内死亡率:D_2群61.5%。術後5日以内死亡率:C群100%。輸血、臓器機能補助療法などを行なわずに経過をみる限り、70%膵切除のみでは致死的因子とはならなかった。肝切除の耐術限界は40〜70%の間にあるものと思われた。 2)ヘパプラスチンテスト値の推移:術前137%。経過中最低値:A群85%、B群106%、C群5%以下、D_1群36%、D_2群47%。AおよびB群:経過中正常範囲内の変化のみ、CおよびD_1群:術中あるいは術直後より急速に低下し正常化しないまま死亡したが、D_1群の方が比較的良好に維持された。D_2群:術後1〜5日の間は異常低値であったが、7日目以後正常化し3週目に術前値に復帰した。 〔結論〕膵切除により肝機能が活性化されることが認められた。他のパラメ-タ-については現在デ-タ-を集積中です。
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