研究概要 |
今回、われわれは肝硬変症例における残肝予備能評価法としての、全身用MRI装置による^<31>PーMRSの有用性について検討したので報告する。(対象及び方法)肝硬変と臨床診断された症例をLCー1群(n=9)、正常肝と判断された症例を対照群(n=6)とし、^<31>ーMRSを用いて高エネルギー燐酸化合物を測定した。さらに、臨床的に肝癌が証明された6例の癌部(以下HCC群)と同症例の非癌部(以下LCー2群)についても同様に高エネルギ-燐酸化合物の測定を行った。(結界)対照群においては、高周波数領域側から順にphosphomonoesters(PM)、無機リン(Pi)、Phosphodiester(PD) 、γーATP、αーATP、βーATPと6固のピ-クが観測された。信号強度はそれぞれのピ-クの波高から測定し、他の測定結果と比較するため同スペクトル上のβーATPの値で除した。正常肝のPMlβーATPは0.67±0.16、PilβーATPは0.90±0.33であった。LCー1群においても、対照群と同様に6ー7本のピ-クが観察された。PMlβーATPは1.06±0.21、PilβlATPは1.12±0.25であった。また肝硬変合併肝癌症例ではHCC群においてPMlβーATPは1.18±0.33、PilβーATPは0.9±0.39,LCー2群においてはPMlβーATPは1.03±0.34、PilβーATP0.74±0.26であった。4群間のPM1βーATP,PilβーATPを比較すると、肝癌合併の肝硬変症例の癌部(HCC群)と肝硬変群(LCー1群)のPMが対照群に比し有意(P<0.05)に高かった。(結論)1・肝硬変、肝癌群のphosphomonoestersは正常群に比し有意に高値を示した。2・肝硬変合併肝癌症例において、癌部、非癌部の個別の測定が可能なことより、^<31>PーMRSが肝硬変症例の術前肝機能評価法となり得る可能性が示唆された。
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