研究課題/領域番号 |
01480324
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
水本 龍二 三重大学, 医学部, 教授 (00025561)
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研究分担者 |
横井 一 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (60174843)
野口 孝 三重大学, 医学部, 助教授 (40144258)
川原田 嘉文 三重大学, 医療技術短期大学部, 教授 (40024814)
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キーワード | 黄疸遷延 / 機能的肝切除限界 / 一期的肝切除 / 肝微細構造 / 肝細胞糸粒体 / kupffer細胞 / sinusoidal block / 肝広範壊死 |
研究概要 |
雑種成犬を用いて閉塞性黄疸を作成し、その肝切除限界や肝流入血行遮断の限界を検索し、さらに減黄術後の黄疸遷延の病態を機能と形態の両面から明らかにして、胆道癌の治療成績の向上に役立てんとするものである。 1.一期的黄疸肝切除限界:胆嚢摘出兼総胆管結紮により閉塞性黄疸を作成しその2週後に肝切除兼総胆管十二指腸吻合による減黄術を行ったところ、40%肝切除群では71%が4週以上生存したのに対し、70%肝切除群の4週生存率は33%と低率であった。しかるに一期的な広範肝切除であっても長期生存の可能性があり、これを機能的肝切除限界からみると、肝切除前のICG Rmax値が0.19mg/kg/min以上なら例え黄疸存在下でも一期的な70%肝切除が、また0.14mg/kg/min以上であれば40%肝切除が安全に施行できるという明解な成績が得られた。 2.減黄術後の黄疸遷延と肝流入血行遮断の限界:閉塞性黄疸作成後2、3、4週目に減黄術のみを行い、その可逆性を機能と形態の両面から検索すると、黄疸作成後3週目になると減黄効果は不良で回復は機能的にも形態的にも遷延し、4週目減黄群では全例10日以内に死亡した。肝微細構造からみても肝細胞糸粒体cristaeに膜面積は門脈域、中心域でともに減少し不可逆的所見を示し、またkupffer細胞は肥大し類洞に充満して、sinusoidal blockを示していた。一方、黄疸作成後2週、3週目に肝流入血行を遮断し同時に減黄術を施行すると、その限界は黄疸2週目及び3週目でそれぞれ肝動脈遮断では2時間及び1時間。門脈遮断では20分及び10分。肝動脈門脈同時遮断では10分及び5分であり、黄疸持続期間が長くなる程、遮断許容時間は短縮し、特に肝動脈を遮断すると肝広範壊死の発生を認め、減黄術のみの群に比べ有意に肝機能回復は不良であった。 以上の成績に基づき次年度は血行遮断下肝切除後の病態を検討する。
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