研究概要 |
人工血液(perfluorochemical)を用い新しく開発した二層単純浸漬保存法(Transplantation,46;457;1988)は保存膵に血管を介することなく酸素の供給することが出来(Transplantation,49,694,1990)ユ-ロコリンズ液を用いた単純浸漬保存での犬膵保存時間の限界24時間を72時間まで延長することを可能にした(Transplantation,47,776,1989)。今回ユ-ロコリンズ液の代りにウイスコンシン大学保存液を用いた二層法で大膵保存96時間に成功した(Transplantation,51,1133,1991)。また二層法の作用機序の1つが高濃度に維持されることによることを証明するとともに(Transplantation,in press)二層法で保存中の膵組織内ATP濃度と移植后のグラフト生着率との間に正の相関があることより(Transplantation 52,989,1991)保存膵の組織内ATPを測定することによりグラフトのvialilityを移植前に予測することを可能にした(Transplant Proc,in press)。さらに人の膵臓も犬膵と同様に二層法で酸素化されることが明らかとなり(Transplantation,in press)二層法の臨床応用の可能性が示唆された。 一方、犬膵にて血中の膵分泌性トリプシンインヒビタ-(PSTI)が同種移植における拒絶反応早期のマ-カ-として有用であることを証明したが(Transplantation 46,493,1988)今回アメリカ・ウイスコンシン大学との共同研究による臨床例での検討でやはり血中PSTIが拒絶反応早期(可逆時)のマ-カ-として有用であることを明らかにした(Transplantation 52,504,1991)。
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