研究課題/領域番号 |
01480331
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
石田 清 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80049767)
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研究分担者 |
中島 煕 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70013810)
山崎 順彦 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60220323)
栗原 茂勝 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90192038)
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キーワード | ビリルビン / 単クロ-ン抗体 / ELISA / anti-oxidant |
研究概要 |
遊離型(非抱合型)ビリルビンに特異的な単クロ-ン抗体を作製し、さきに作製した非抱合型および抱合型(ビリルビン・グルクロナイド)のいずれにも反応する単クロ-ン抗体と併用して、ビリルビンおよびその抱合体定量のためのELISAを開発した。このビリルビンELISA法と従来のビリルビン定量法(ヂアゾ法)との比較検討の過程で、消化器手術後早期の患者血清および尿中に、ヂアゾ反応陰性でELISAで検出可能なビリルビン類縁物質が異常に増量することを観察した。とくに、術後の尿閉の継続期間には血中にELISA陽性物質が著しく増加した。ただし、遊離型ビリルビンに特異的な単クロ-ン抗体はこれらのビリルビン類縁物質とは反応性を示さなかった。これらの成績から、この現象は消化器手術中に腹腔が大気中の酸素に曝露されることによって体内に生成した有害酸素をビリルビンがanti-oxidantとなって解毒し、自らは酸化されて血中に増加し、尿中に排泄されるものと考えられた。エピト-プの異なる二種類の抗ビリルビン単クロ-ン抗体に対する反応性が全く異なることから、このビリルビン類縁物質は、遊離型ビリルビンの構造上の特徴としての分子内水素結合をすでに失って、水溶性の上昇した物質で、血中から速やかに尿中に排泄されるものと推定された。現在、血清あるいは尿を出発物質としてのこのビリルビン類縁物質を単離精製中で、平成2年度内にその構造を決定する予定である。
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