研究概要 |
マウスに可移植性大腸癌株であるColon26を移植し,これに対し9MeVの電子線の局所照射およびACNUの腹腔内注入の併用による効果及びその組識学的効果,DNA解析を行った。昨年度の報告において,生存日数の延長を報告したが,以下の如く証明できた。ACNU20mg/kg+電子線3Gy群では電子線9Gyに相当する腫瘍縮小効果を得ることができ,組織学的にも腫瘍部分の損傷が電子線9Gyとほぼ同様であることを確認した。又,同部の腫瘍細胞のDNAはG_2期に同調されており,G_2ブロックにより効果が得られたものであることが判明した。 同様の移植癌において免疫抑制剤である,ステロイド及びサイクロスポリン,免疫賦活剤であるOK432,レンチナン投与における生存日数曲線,腫瘍体積増殖曲線及び体内における免疫学的変動について検討中であり,この結果により放射線療法との併用効果を検討する予定である。現在まで得られたデ-タ-では,生存曲線はOK432,レンチナンで対照群に対し有意に延長しており,サイクロスポリンでは有意に低下,ステロイドではその中間値を示していた。又,腫瘍の生着したマウスの採血によるリンパ球分画をフロ-サイトメトリ-を用いて解析を行っており,興味深いデ-タ-が得られている。5日目,12日目の採血においてThy1,Lyt1,Lyt2で染色したところ,正常では認められない細胞群がドットプロットの細胞群間に存在し,この細胞群は先に用いた薬剤における生存曲線に反比例し,OK432,レンチナンで低下し,ステロイド及びサイクロスポリンで上昇を認めた。この細胞群はドッドプロットにおける解析によっても確認されており,現在この細胞群が意味することを検索しつつ,再現性の確認を行っいてる。
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