研究分担者 |
谷 千秋 東京医科大学, 医学部, 講師 (60147189)
鶴井 茂 東京医科大学, 医学部, 助手 (30217385)
永楽 仁 東京医科大学, 医学部, 助手 (60203618)
加藤 孝一郎 東京医科大学, 医学部, 助手 (50201421)
中島 厚 東京医科大学, 医学部, 助手 (10211418)
|
研究概要 |
高頻度肝転移大腸癌培養株であるcolon26細胞を用いて肝転移モデルを確立した。脾臓に移植後,電子線を局所に照射を行い,その適切投与量を検討すると共に,細胞周期同調剤であるACNC,免疫抑制剤であるステロイド,サイクロスポリン,免疫賦活剤であるOK432,レンチナンを併用し,腫瘍体積増殖曲線,生存日数曲線,組織学的効果およびDNA量,核蛋白量との関連について検討を行った。電子線9Gyの照射,ACNU40mg/kgの投与で有意に腫瘍縮小効果が得られた。しかし,ACNU20mg+電子線3Gyの併用群ではこれらと同程度の腫瘍縮小効果が得られたばからでなく,統計学的にも有意の生在日数の延長効果が得られた。このような効果を核DNA核蛋白量について照射別回帰曲線を用いて解析を行った結果,3Gyでは効果が認められず6〜9Gyと照射量の増加に伴い曲線傾斜の増大および核蛋白/核DNA比の低下が認められた。放射線単独では6Gy以下では充分なG2ブロックは得られず,9Gyで2つのcell cycleのG2ブロックが得られた。ACNUの併用によりこの効果が増強されたことより,ACNUが細胞周期をG2期に貯留させることにより,放射線効果を増強していることが示された。免疫抑制剤,免疫賦活剤の併用効果については,単独投与における効果を検討中である。生存曲線においては,OK432,レンチナンの投与により有意の延長効果を,またサイクロスポリンにより有意な短縮を認め,ステロイドでの短縮には有意差は得られなかった。これらの処理をしたマウスにおいて5,12日目に採血を施行し,このうちのリンパ球をL3T4,Ly2で染色しflow cytometry にて解析したところ,正常では出現しない細胞群がdot plotにおけるLy2ーL3T4^+細胞群間に出現した。この細胞群は生存曲線に反比例しOK432,レンチナンの投与で低下し,ステロイド,サイクロスポリンの投与で上昇を認めた。このような細胞群の出現の報告は未だなされていないため,再現性の確認を急ぐとともに,放射線との併用効果を検討中である。
|