| 研究概要 |
大動脈瘤の破裂を防止する目的で,侵襲が少ない手術法を本人工血管を開発して研究した.
すなわち,剛管であるアパタイト人工血管とテ-パ-形の高分子人工血管を開発し,それらを組み合わせて吻合を要しない新しい人工血管を開発した.さらにそれを用いて大動脈瘤切除を必要としない術式を可能にする手術機器(完全内挿型人工血管挿入留置用カテ-テル)を同時に開発した.
術式は,胸部,または腹部を切開し,大動脈を露出して,大動脈瘤を遮断し,遮断直下の大動脈健常部の一部を切開した.切開部下流にルメ-ルタ-ニケットをかけて,前述のダブルバル-ンを挿入し,遠位端のバル-ンを膨らませて,大動脈下流からの逆流を阻止した.近位端のバル-ンを膨らませつつ,大動脈内を下流に進め大動脈内壁を拡大しつつ,人工血管を大動脈内に侵入させる.大動脈切開部に針糸をかけて,遠位バル-ンをデフレ-トして血液を逆流させて,切開部から逆流させ,カテ-テルを抜去して大動脈切開部を縫合閉鎖する.
イヌを用いて大動脈瘤破裂を防止できる新しい本手術法を試み,イヌは1年以上飼育しているが,異常を認めない.本法は臨床応用が可能だと思われる.
本研究の展開過程で,生体における動脈のように,次第に内径が細くなるような(テ-パ-するような)細口径人工血管を開発し,その開存性についてもイヌを用いて実験的に研究し,人工血管一般に関する総説を著した.
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