研究課題/領域番号 |
01480340
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
江口 昭治 新潟大学, 医学部, 教授 (90018367)
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研究分担者 |
中沢 聡 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
上野 光夫 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
金沢 宏 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (10177496)
大関 一 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (70213717)
林 純一 新潟大学, 医学部, 助手 (30164940)
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キーワード | 体外循環 / 好中球活性酸素産生能 / 過酸化脂質 / 顆粒球エラスタ-ゼ / 血小板凝集能 / 同種血輸血 |
研究概要 |
心臓手術時の体外循環における血液障害の全貌と程度、さらにその成因を明らかにするため、本年度は、特に、(1)通常の臨床で行なわれる一般対外環境における血液障害の基本的推移と特徴、(2)同種血輸血の有無による血液障害の差異について、主として好中球機能および血小板機能測定結果にもとづき、明らかにした。 1.一般体外環境における血液障害の基本的推移と特徴。 体外循環開始とともに、好中球活性酸素産生能は著明に抑制されるが、復温・心拍動の再開とともに、多くの例で、再び活性酸素産生能は上昇した。またこの時期の活性酸素産生能は、血漿過酸化脂質と正の相関を示した。さらに体外循環の全経過を通じ、補体(C3a)、顆粒球エラスタ-ゼは上昇し、終了とともに低下した。血小板数、血小板凝集能は、体外循環により低下叉は抑制され、体外循環時間が長いほど、この抑制の程度は高度であった。かかる血小板数、血小板凝集能は術後第2-3病日に最も低値を示し、第7病日以降、術前値へ回復した。 2.同種血輸血の有無による血液障害の差異。 前述した好中球及び血小板機能は、同種血輸血手術群と自己血手術群とで差異を認めた。即ち、自己血手術群では、体外循環中の好中球数には大きな変動がなく、血小板凝集抑制の程度も明らかに軽度であった。 同時に測定した補体値、顆粒球エラスタ-ゼ等は両者に差を認めなかったことから、自己血輸血群においても、人工肺や回路を介した血液障害が生じていることは明らかである。しかしながら体外循環に同種血輸血を行うと、他者の赤血球や血漿が、微小循環系や人工肺界面における血球凝集を促進し、好中球、血小板機能をより強く障害したものと、推察される。
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