研究概要 |
人工心肺回路の一部として用いることが出来る長軸型の人工肺を開発した.ハウジング長280mm,ハウジング外径48mm,膜面積1.87m^2,膜充填率50%であり,膜はポリプロピレン製ホロファイバ-(内径320μm,膜厚55μm,有孔率70%)を用い,ホロファイバ-内部をガスが通過し血液はホロファイバ-外部を潅流する外部潅流型形式とした.ガス交換能及び圧損失の検定を行い表のような結果を得た.【table】 血流量を増加させていくに従って酸素移動量は大きくなりこの点ではほぼ満足すべき性能が得られたが,炭酸ガス移動量は血流量を3.0l/minから5.0l/minに増やしても増加せず高血流量時に炭酸ガスのガス交換能が不十分であり更なる改良を要すると思われた.圧損失は高血流量時にも低値にとどまったが,脱血回路側に人工肺を組み込むと脱血が不十分となることが懸念されるため,人工肺を送血側に熱交換器を脱血側に配置すべきであろう. 大型動物(ブタ,体重40〜60kg)を用いた潅流実験では,送血用ポンプとして遠心ポンプを用いることにより回路内総充填量を600mlまで節減することが可能となった.血液潅流量を1.0〜4.0l/minまで変化させ各潅流時にガス交換能の評価を行ったところ検定実験とほぼ同様の結果が得られた.今後は高潅流量時の炭酸ガス交換能を改善させ,圧損失をもう少し下げる方向で研究開発を進め,回路および熱交換器を含めたシステムとして実用可能なものに改良していく所存である.
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