研究概要 |
昨年度開発した人工心肺回路の一部として用いることが出来る長軸型の人工肺(ハウジング長280mm,ハウジング外径48mm,膜面積1.87m^22)よりさらに長い人工肺(ハウジング長600mm,ハウジング外径200mm,膜面積0.24m^2)を作製しガス交換能の検定を行った。血液流量増加時に炭酸ガス交換能が不足する傾向が昨年と同様に出現し,目標とする炭酸ガス交換能を確保するためにガス流量を増加させるとホロファイバ-の微小細孔からのガスのリ-ク(バブリング)が極めて容易に発生した.この現象は長軸化によりホロファイバ-長も長くなったためガス流路側の圧損失増大に伴いガス側の圧上昇をきたすために発生するものと思われた.この現象は長軸化が進むほど発生しやすくなるため,この形状で十分なガス交換能をもつ人工肺を作製することは相当因難であることが予測された.そこで手術台上で使用可能なBOX型の人工肺を作製した(下図).充填量160mlと非常に小型であり遠心ポンプと併用することにより少ないスペ-スに設置可能で,回路を含めた総充填量を450mlまで節減し得た.性能は表に示す如くでありほぼ満足し得る性能がえられた. この人工肺は血液側の圧損失が低値であるため脱血側に設置することも可能であるが,遠心ポンプと組み合わせて使用した場合脱血側には陰圧がかかるため上記のようなバブリングの誘因となりうるので送血側に設置することが望ましいと思われる.
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