【目的】三尖弁閉鎖における機能的根治手術としてFontan術が広く行われているが術後右房圧が高値にとどまり、このことが術後、肝腫大、不整脈の発生の要因になると考えられる。そこで右房圧の低下が得られれば予後の改善につながる可能性があるため上大静脈血を左右肺動脈に流入させるBiーdirectional Glenn shuntを作成し右房にかかる容量負荷を軽減させることにより右房圧を低下させ得るかを検討した。 【方法】雑種成犬(10〜15Kg)に08mmPTFE graftでBiーdirectional Glenn shunt、012mmPTFE graftで右心房ー主肺動脈バイパスを作成した。三尖弁はパッチで閉鎖した。動脈圧、上大静脈圧、右房圧、左房圧と電磁血流計を用いた心拍出量、Strain gageを用いた右房心筋長の変化を3例に対し計6回測定した。術後は全例、洞性整脈で116〜183/分の心房ペ-シングを行った。尚、1例に5μg/kg/minのDobutaminを必要とした。 【結果】Fontan術の状態とこれにBiーdirectional Glenn shuntを追加した状態との比較では平均動脈圧(mmHg):40.2±6.54→36.5±4.88(n.s.)、上大静脈圧(mmHg):12.2±2.12→12.0±2.08(n.s.)、右房圧(mmHg):13.9±2.33→14.2±1.82(n.s.)、左房圧(mmHg):4.3±1.73→4.8±1.83(n.s.)、心拍出量(ml/kg/min):73.3±8.77→64.5±8.67、右房心筋長(%):100→70.8±12.1(p<0.05)であった。 【考察および結語】本方法による生存時間は約1時間前後であるがFontan術のモデルとして適当と考える。Biーdirectional Glenn shuntの追加により右房圧を含む血行動態の明らかな変化は認められなかったが右房心筋の伸展が有意に抑えられた。このことよりFontan術にBiーdirectional Glenn shunを追加することによって心房筋の負荷を軽減させ、長期的には不整脈防止につながる可能性があると考える。
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