研究課題/領域番号 |
01480347
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00142183)
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研究分担者 |
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (00216996)
木下 正之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (00183301)
野田 裕幸 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (20183551)
松田 武久 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 部長 (60142189)
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (60028595)
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キーワード | 人工心臓 / 人工肺 / 心肺不全 / 呼吸不全 / 循環不全 / 抗血栓性 / 血漿漏出 / 心肺補助 |
研究概要 |
本研究の目的である、重症呼吸循環不全患者に対する人工臓器的手法を用いた心肺同時補助による治療体系を確立するために、本年度は人工肺を組込んだ補助人工心臓(VAD)システムを用いて、慢性動物実験により心肺同時補助効果の基礎的検討を行なった。実験動物には体重40kg以上の成山羊を使用した。先ず我々の施設で開発したVADシステムを右心房一肺動脈間に右心補助人工心臓(RVAD)として装着し、約2週間後にRVAD送血管に人工肺を挿入・装着し、長期間心肺補助を試行した。人工肺は、血漿漏出防止が可能なものを使用した。本心肺補助システム下での右心補助効果、酸素添加量・炭酸ガス排出量の推移、および血液性状の変化を検討した。その結果、システム自体に起因する合牧症を認めることなく最長2週間の心肺補助を安定して施行することができた。循環補助に関しては3〜4L/minの最大バイパス流量を得ることが可能で、呼吸補助に関しては130ml/min前後の酸素添加、および110ml/min前後の炭酸ガス除去が可能であった。補助期間中、血液性状には大きな変動を認めず、本システムによる血液性状への影響は軽微であると思われた。本システムはリザ-バなしの小容量閉鎖回路であり、またVADの良好な抗血栓性ともあいまって、人工肺以外の回路全体が抗凝血療法不要のものとなった。本検討においても、実験終了後の回路の検索では、人工肺以外の回路部分にはVADも含めてく血栓形成は認められなかった。またVADの良好な血液適合性は、その繊細な制御性とともに、ポンプの長期間の駆動による血液損傷の問題を解決することに繋がり、現行のECMOあるいはV-Aバイパスシステムと比較してこの点においても極めて優れていることが証明された。以上より、人工心臓と人工肺を組み合わせることにより種々の利点を獲得し得ることが示され、安全な長期間心肺同時補助方法へと発展し得ることが確認された。
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