研究概要 |
1.ポジトロンエミッションCT(PET)を用い、C^<15>O_2,^<15>O_2持続吸入法によって脳機能の測定を行った。測定は安静覚醒時、および「想起発言課業」を同一被験者において引き続き施行し、課業時画像から安静時画像を引き算することによって課業分の代謝・血流の変化(△rCBF,△rCMRO_2)を求めた。「想起発言課業」は被験者の前日の行動を小声で話すものである。 2.PET画像は解像力においてやや劣るため、PET検査時に同一スライス面のX線CTを得ておき、このX線CT画像上に△rCBF,△rCMRO_2を投射して位置同定に供した。 3.被験者は現在までに13名(脳神経外科疾患患者11名、正常者2名)、年齢は16-70歳で全て右利きである。患者2名は言語の障害を有していた。この検査は種々の治療に有益な情報を与える目的を持っていた。 PET検査の正常値範囲は別の14名の正常志願者の値をもとに考えた。 4.課業によって活性化される脳部分については従来の言語の形成遂行についての知識と一致していたが新たに以下のことが考えられた。 (1).脳の広範な部分が活性化され、従来は余り考えられなかったような、例えば小脳半球が比較的活性化の程度も高い。臨床的には活動時の脳機能、日常生活能力の推定に有用と思える。 (2).個人個人によって活性化の部分化が細かいところで異なっている。 (3).前頭葉弁蓋部、運動前野、補足運動野が両側性に活性化の程度が高い。
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