研究概要 |
1・ポジトロンエミッションCT(PET)を用い、右利きの脳神経外科疾患患者11名、正常者2名、年齢16ー70歳、について^<15>O_2,C^<15>O_2持続吸入平衡法により、安静時と想起発言課業時の局所脳酸素代謝量・血流量を計15回測定した。課業時のそれ ぞれの画像から安静時の画像を差し引いて課業分の代謝量・血流量の変化(△rCMRO_2,△rCBF)を求めた。ここに言う想起発言課業は被検者の前日の行動を小声で話すものである。 2・PET測定時にこの画像と同一のスライス画を有するX線CT画像を得ておき、X線CT画像とPET画像をモニタ-テレビ画面上で一致させておく。ここでX線CT画像上に解剖学的脳部位をPET画像の解像力の許す範囲で細かくとりそれぞれの部位の△rCMRO_2,△rCBFを求めた。 3・△rCMRO_2を詳細に検討すると、課業の主な要素である記憶想起と発語から予測されていたごとく、Broca野と両側の側頭葉に強く賦活される部位があった。さらに加えて両側の運動前野、補足運動野、右前頭葉弁蓋部、右小脳皮質も賦活が見られた。 4・左右両半球の賦活化については今まで報告が少なく、また小脳半球も言語活動によりこのように明らかに活性化されることの報告は見られなかった。 5・脳神経外科疾患の患者においては安静時の酸素代謝・血流の画像のみよりは賦活による変化を見ることが病像の把握や予後診断に有用であり、ひいては人間の記憶・発語の機能局在を考えるうえで有効な手段と思われた。
|