研究課題/領域番号 |
01480354
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
菊地 晴彦 京都大学, 医学部, 教授 (20072746)
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研究分担者 |
寶子丸 稔 京都大学, 医学部, 助手 (70211539)
永田 泉 京都大学, 医学部, 助手 (10198327)
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キーワード | モヤモヤ病 / ウィリス動脈輪閉塞症 / DNAブロット解析 / aFGF / bFGF |
研究概要 |
(緒言)モヤモヤ病は内頸動脈分岐部を中心に内膜の肥厚による血管狭窄をきたし、脳底部を中心とした異常血管網を形成する疾患であるが、その病因に関しては諸説あるにもかかわらず不明である。しかしながら最近になり遺伝的素因が病気の形成に大きく関与していることが示されてきている。そこで我々は、内膜増植因子として知られているaFGFとbFGFの遺伝子構造に変化がないかどうか、DNAブロット解析を用いて検討をおこなった。 (方法)正常人およびモヤモヤ病各7例の血液10mlよりDNA100ないし200μgを抽出し、そのうち3μgを制限酵素(EcoRIあるいはHindIII)で切断した。アガロ-スゲル上で電気泳動をおこなった後、ナイロンメンブレン上にブロッティングをおこない、aFGFあるいはbFGFのcDNAプロ-ブを用いハイブリダイゼ-ションをおこなった。その後、抗体を用いた方法によりバンドを検出した。 (結果)蛋白翻訳領域を含む1.3kbのaFGFcDNAを用いたブロット解析では、ECORIで14kb、5kbのバンドが、HindIIIで7kb、5.5kbのバンドが検出できたが、正常人とモヤモヤ病の間で明らかな差を認めなかった。同様に蛋白翻訳領域を含む0.4kbのFGFCDNAを用いたブロット解析でも、ECORIで6.5kd、2kbのバンドが検出できたが、両者の間で認めなかった。 (考察)FGFは癌遺伝子と関係の深い物質であり、最も良く知られた内膜増殖因子であり、FGF遺伝子の構造変化がモヤモヤ病の内膜肥厚を引き起しているかもしれないという仮定のもと本研究を行なったが、遺伝子に大きな構造上の変化を認めなかった。今後はモヤモヤ病の家系内発症例につきRFLPマ-カ-を用いたリンケ-ジ解析をおこない、原因となる遺伝子の染色体の同定に努める予定である。
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