研究課題/領域番号 |
01480356
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
魚住 徹 広島大学, 医学部, 教授 (20028426)
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研究分担者 |
栗栖 薫 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (70201473)
向田 一敏 広島大学, 医学部, 助手 (70183647)
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キーワード | 下垂体腺腫 / 光化学療法 / 細胞培養 / 動物実験 / フェオフォ-バイドーa |
研究概要 |
In vitroにおけるラット下垂体腫瘍細胞(GH_3細胞)へのフェオフォ-バイド_<ーa>(以下Phーaと略す)を用いた光化学法療法(以下PDTと略す)の基礎的研究により、その殺細胞効果は、培養液中のPhーa濃度、前処理時間、光照射強度に応じて出現し、これら3要因と正の相関を示すことが判明した。またin vitroにおけるヒト下垂体腫瘍初代培養系におけるPDTの有効性をも確認した。ヌ-ドマウス背部皮下移植ラット下垂体腫瘍(GH_3腫瘍)におけるin vivoのPDTの研究では以下の知見が得られた。1.20mg/kgのPhーa静脈内投与により、三又神経、視床下部、脳幹、大脳、小脳の各組織にはPhーaはごく微量しか移行しなかった。静脈内投与後1時間において正常下垂体へは高濃度のPhーaが移行したが、その時間的経過は腫瘍とは異なりPhーa濃度は速やかに低下することが判明した。それゆえ、正常下垂体を損傷することなく選択的に腫瘍への殺細胞効果を得るには、光感受性物質の投与から光照射までの至適時間の選択が重要であると考えられた。2.PDT後72時間の腫瘍は光顕上死滅していた。またPDT後14日では腫瘍は肉眼的に消失し、ラット成長ホルモン値の著明な減少がみられ、PDTはgiantismの発生を完全に抑制した。それゆえ、ラット下垂体腫瘍へのPDTはin vivoにおいても十分な抗腫瘍効果を有することが判明した。3.ビタミンE溶解用の溶剤により調製したPhーaの静脈内投与では、肺水腫は発生しなかった。以上の如く、平成3年度に予定していた研究計画までもほぼ達成された。しかし、Phーaの血液中からの消退が遅延したことは、腫瘍への選択性ならびに副作用を考慮する場合に問題となると思われた。この点に関しては動脈内Phーa投与法よって解決されると思われる。それゆえ平成3年度は、エストロゲン誘発ラット下垂体腫瘍(頭蓋内)を用いて、頚動脈より選択的にPhーaを投与したPDTを試みる予定である。
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