研究概要 |
Lambardらの方法に準じ、一側のC_5からTH_1までの後根を切断したSpraqueーDawleyラットを作成した。ラットは1〜3ケ月後に切断側前肢を噛み切るなどの自傷行為(automutilation)を示し、この時期にFlaxedilで非動化、人工呼吸下に視床後腹側核(VPL)を中心に微小電極を用い細胞発火の検索を行った(細胞外記録)。 結果:1)VPLから内側毛帯や不確帯部に群化発火ニュ-ロンを認めた。これらニュ-ロンはinterspike intervalが2〜5msec、2〜4連の規則的なburstを示した。対照として無処置ラットにおいて同様の検索を行ったが、burst状発火は認められず、ときに高頻度持続発火を示すことがあっても、後根切断ラットより得られた発火様式とは明らかに違っていた。2)後根切断ラットに見られる群化発火は、青斑核や縫線核の條件刺激によっても著変を示さず、3)大脳皮質感覚運動野の電気刺激では、刺激終了直後より数秒にわたり軽度の抑制を認めた。4)感覚運動野にKClを塗布しSpreading depressionを惹起すると(陰性直流電位により判定)、群化発火は著明に抑制された。5)diazepam,diphenylhydantoin,barbiturateの投与によっても群化発火は減少する傾向を示した。6)gultamin酸、MK801,GABA,bicucullinをmultiーbarreled微小電極を使用、iontophoresis法により投与すると、glutamin酸は群化発火を増加、MK801投与で減少を示した。GABA投与によっても発火頻度は減少したが、bicucullinの効果は明らかでなかった。 以上の結果は、これら動物に認められた群化発火にglutamin酸、ことにNMDA受容体やGABA受容体の関与を示唆していた。
|