研究概要 |
多形性神経膠芽腫(GM)8例、良性神経膠腫3例、髄芽腫2例、神経芽細胞腫1例、髄膜腫5例、神経鞘腫1例の計20例の脳腫瘍につき、Nーmyc、cーmyc、erbB、sisの癌遺伝子の増幅を検索した。GMの8例中、erbB、Nーmyc、sisの各癌遺伝子が、それぞれ2例(25%)、1例(13%)、1例(13%)増幅していた。他の脳腫瘍ではいづれの癌遺伝子の増幅も認めなかった。もっとも悪性であるGMとこれら優性癌遺伝子との関連が推測される。 IL2R(interleukin 2receptor),DIOSI,PLAU(plasminogen activator,urokinase),HPIO,のprobesを使用してGMの染色体10番のRFLP(restriction fragment length polymonphism)を検討した。GM5例中4例にいづれかのprobeでheterozygosityの消失が認められた。probeならびに例数も少く詳細なlocusを決定するまでには至っていないが、その欠失遺伝子はGMの発生を抑制する劣性癌遺伝子かもしれない。 悪性神経膠腫8例の染色体分析では4例にDMs(double minutes)が存在し癌遺伝子の増幅が強く疑われた。しかし、DMsがこの癌遺伝子の増幅であるのかは染色体上のinsitu hybridizationでまだ確認出来ていない。HSR(homogeneously staining region)の存在は1例も認めなかった。また、3例に18q^+が存在したが転座切断点は一致しなかった。
|