研究課題/領域番号 |
01480361
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
戸谷 重雄 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40051205)
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研究分担者 |
植村 慶一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
浅田 英穂 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10184144)
吉田 一成 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70166940)
高山 秀一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50171559)
大谷 光弘 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80051605)
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キーワード | パ-キンソン病 / 移植 / 培養神経細胞 / 神経成長因子 / 神経芽細胞腫 / レチノ-ル酸 / 血管新生 / 拒絶反応 |
研究概要 |
1.異種間脳移植において免疫学的拒絶反応が起きるが、異種間脳移植による免疫学的拒絶反応の詳細な機序、その克服法についてさらに検討を行った。Balb/cマウスをWistar albinoラット脳室内に移植し、マウス血管内皮細胞を特異的に認識する抗Mouse endothelial surface antigenー1(MESAー1)抗体を用いた免疫組織化学染色と、血流マ-カ-としてインデイアンインクにて灌流を行い2重標識を行い、移植組織内の血管と血流動態について検討した。その結果、移植後3日目以降には、移植組織内血管の内皮細胞においてMESAー1が発現し、移植組織内の血管の一部はDonor由来であることが明かとなった。また、移植後6日目以降ではDonor由来の血管に血流が開始し、Donor由来の血管とHost由来の血管とが吻合することが、明かとなった。血流開始直後には、移植組織内血管には、血液脳関門が存在するが、免疫学的拒絶反応が開始する時期には血液脳関門が破綻していることが判明した。異種間脳移植においては、他臓器の移植に比較して免疫学的拒絶反応の始まる時期が遅いが、移植組織内血管における血液脳関門の存在がその一つの理由になっているものと考えられる。また、streptomyces Tsukubaensisにより産生されるFK506はCyclosprolin Aの10分の1の投与量で免疫学的拒絶反応を抑制することが判明し、新しい免疫抑制剤としの可能性が示唆された。 2.ヒト神経芽細胞腫由来培養細胞SHーSY5Yは、神経細胞に特的に発現しているneurofilament蛋白の分析の結果、nerve growth factorの処理よりもretinoic acidの処理により、SHーSY5Y細胞はより分化した神経細胞に変化することが判明した。一方、遺伝子操作によりNGFを恒久的に分泌するようになった細胞の脳内に移植すると、HostのNGF感受性細胞のabberant regenerationが起こることが判明したため、現在のところ、retinoic acid処理にて神経細胞の分化したSHーSY5Y細胞をDonorとして、移植後一定期間NGFの脳室内投与を行うことがDonorを生着させる最前の方法であることが判明した。
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