研究概要 |
平成元年度におけるヒト骨肉腫培養細胞株に対する基礎的実験の成果をもとに、臨床材料に対しMTT assayを用いた抗癌剤感受性試験を行い、感受性試験の結果と実際の臨床効果との相関を検討した。手術及び生検材料より得られた悪性骨軟部腫瘍67検体を検討した。3日間培養後のコントロ-ル群の吸光度が0.2以上のものを感受性判定可能とした。その結果67検体中64検体(96%)に感受性判定が可能であった。1ウエルあたり1×10^4個以上を播種した検体は全て判定可能であった。感受性判定が可能であった薬剤数は1〜13剤(8.4±3.5,mean±S.D.)であった。30検体についてMTT assayの結果と臨床効果との関連性をprospective studyおよびretrospective studyによって検討し得た。その結果は真陽性が15例、偽陽性が2例、真陰性が10例、偽陽性が3例であった。真陽性率は88%、真陰性率は77%で、全体的な臨床効果の予測率は83%と高いものであった。11検体においてprospective studyを行うことができた。その結果、11検体中10検体においてMTT assayにより『感受性あり』と判定された薬剤の臨床効果は『有効』であった。MTT assayは簡便、迅速で、少ない材料で多数の薬剤の感受性を判定できる方法であることが示され、また成功率も高く、臨床効果との相関も高いことが示された。以上、本研究によりMTT assayを用いた感受性試験は悪性骨軟部腫瘍に対する実用的な抗癌剤感受性試験になりうるものと考えられた。
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