研究課題/領域番号 |
01480367
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
荻原 義郎 三重大学, 医学部, 教授 (20024755)
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研究分担者 |
藤浪 周一 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (30199351)
塩川 靖夫 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (80115708)
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キーワード | 悪性線維性組織球腫 / 核DNA量の解析 / ヌ-ドマウス / 細胞性免疫能 |
研究概要 |
悪性線維性組織球腫(MFH)の組織起源を探求する目的の為に平成元年より3年間に亘る研究で腫瘍構成細胞の中でも特に重要と思われる下記の二種類の細胞について、その性格、形態を検討した。 MFHは大型の立方形の細胞、紡錘形の細胞、小リンパ球様細胞、多核巨細胞など多彩な成分からなるがその主たるものは大形の立方形細胞と紡錘形細胞である。この両者を比較適早い時期にそのいずれかが主である細胞集団に分けてその性質を検討した。 (I)まず初年度(平成元年)はMFHの一つの特徴であるコラ-ゲン形成能についてDEAEによる型別コラ-ゲンの分析を行った。その結果、立方形の細胞が多くを占める集団ではIII型コラ-ゲンが主として形成されており、紡錘形細胞を主とする集団ではI型のコラ-ゲンであった。また、これらの両タイプの細胞に胞体分化の方向をより明らかに示されるために活性型ビタミンD、デキサメサゾンなどの細胞の分化誘導作用を有する考えられている物質を投与し、貧食能や組織球系細胞のポリクロナ-ル抗体に対する染色性を検討した。いずれの集団の細胞も特に強い変化は示されなかったが、電顕による形態学的観察ではややライソゾ-ムの増加をみた。 (II)次いで平成二年度には、フロ-サイトメトリ-を使用し核DNA量解析を行い、この両集団を比較した立方細胞が主なグル-プではaneuploidyを呈し、電顕的にも細胞内小器管の発達が悪く、核の異型性に富むなど悪性腫瘍としての特徴を備えていた。一方紡錘形細胞よりなる集団ではeuploidyを示し、電顕的にも上記の如き所見を示す細胞は小なかった。 (III)最後に平成三年度の研究としてはMFHま組織像を非常に複雑多彩なものにしている原因として、腫瘍細胞増殖の環境を重要視し、継代移植後比較的均一な組織像となった腫瘍細胞を(1)ヌ-ドマウスの大腿骨内に移植し、組織像の変化を観察した。(2)ヌ-ドマウスの胸腺を移植し細胞性免疫能の獲得が被移植腫瘍の組織像に及ぼす影響を検討した。その結果(1)では破骨細胞様多核巨細胞の出現、紡錘形細胞の増殖、コ鈴-ゲン線維の増生などオリジナルな組織像にやや近い所見を示した。(2)においても腫瘍の壊死部分の増加と共に炎症細胞や巨細胞の出現などを来し多彩な組織像が再現されていた。
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