研究課題/領域番号 |
01480370
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
山本 博司 高知医科大学, 医学部, 教授 (90035709)
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研究分担者 |
上岡 禎彦 高知医科大学, 医学部, 助手 (60185981)
谷 俊一 高知医科大学, 医学部, 講師 (90136250)
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キーワード | 生体材料 / チタン / ポ-ラス材料 / 力学的特性 / バイオメカニクス / 移植 / 脊椎固定 / 生体親和性 |
研究概要 |
チタン線維性金属を脊椎固定に対する生体材料として応用を行うために、その素材の力学的特性を安定させるための作成法の改良を行った。材料は、250μm径の1本の純チタン性ワイヤ-を編み上げ、圧縮、焼結して作成するものである。この従来型と、さらにこの従来型にpre-compressionを加えた改良型との比較を行った。pre-compressionとは、素材にあらかじめ、成形方向と垂直の方向に800kgの荷重をかけるものである。検討を行った素材の形状は、人腰椎前方固定を想定してデザインされた鍔状の突起を有するものである。素材の見かけ状の気孔率は40-60%で、孔径は約50ー700μm、平均約210μmであり、開孔構造を呈している。力学的特性の検討には静的圧縮加重試験と、37℃生理食塩水中での繰り返し加重試験を行い、前者では弾性率、降伏加重を測定し、後者では繰り返し加重後の試料の変形、破損、亀裂などを検討した。5個の試料の静的荷重試験では、従来型が降伏荷重は平均408kgfで、弾性率は平均6.18×10^3kgf/cm^2であるのに対し、改良型の素材では降伏荷重は平均796kgfで、弾性率は平均12.8×10^3kgf/cm^2であった。さらに、従来型に比べ、降伏点に至るまでの歪みが直線的で、弾性体の挙動を示し、また、負荷を取り除いた後の永久変形はほとんど見られなかった。 繰り返し荷重試験後の変形は、500±50kgfの荷重を10^7回加えた後でも0.68%の変形に留まり、従来型の約2%の変形に比べ明らかに減少していた。繰り返し荷重試験を行うことによって、焼結後にpre-compressionを加えるという改良が力学的特性での利点を大きく損なうことなく、より安定した素材を生み出すことを示した。この改良により、長期間にわたって生体内移植した場合において、さらに一層の力学的安定性が獲得され、生体親和性の向上が得られると考えられる。
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