研究課題/領域番号 |
01480373
|
研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
小野村 敏信 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90025560)
|
研究分担者 |
石橋 伊三郎 大阪医科大学, 医学部, 助手 (60223020)
宮地 芳樹 大阪医科大学, 医学部, 助手 (40140157)
渡辺 秀男 大阪医科大学, 医学部, 助手 (90026899)
|
キーワード | 脊椎牽引 / 低血圧 / 脊髄血流量 / 脊髄誘発電位 / レ-ザ-ドップラ-血流計 |
研究概要 |
本年度は、薬剤を用いた低血圧状態が牽引下の脊髄に及ぼす影響を脊髄血流量と脊髄誘発電位(以下SEP)の経時的変化をもとに検討を加えた。 (方法)成熟家兎を用い、GOE麻酔したのちに頸動脈より血圧モニタ-を行った。低血圧状態は、降圧剤にプロスタグランディン(PGE1)を用い、収縮期血圧を30%(30%群)、50%(50%群)低下状態に設定した2群を作製した。脊髄血流量の測定はL1ー2間を椎弓切除したのち硬膜切開し、レ-ザ-ドップラ-血流計を用い経時的に測定した。SEPは、L4ー5、及びTh9ー10椎弓間より、各々硬膜外電極を挿入し上行性および下行性電位について記録した。また、刺激強度は閾値の3倍(3T)及び最大上刺激(以下SUPRA)の二種類を用いた。脊椎の牽引は前方解離した後、L1、L2棘突起基部にKーwireを通し我々の考案した牽引装置を用いて行った。 (結果)1.正常血圧群に比べて30%群、50%群共に脊椎牽引による脊髄血流量の低下率に差はなかった。牽引解除後の脊髄血流量の回復は30%群において良好であった。 2.脊椎牽引が脊髄に及ぼす影響をSEPを用いて評価すると、血圧低下時は牽引により振幅は低下するが、50%群に比べて牽引解除後の振幅の回復は30%群において良好であった。 3.脊椎牽引による上行性、下行性脊髄誘発電位における3TとSUPRAの振幅変化においては、前年度報告したように血圧低下により3T刺激の第二電位に変化が著明であったが、牽引により第二電位だけでなく下行性SEPの第一電位においても変化を認めた。このことにより牽引が虚血時の脊髄に及ぼす影響を評価するには下行性SEPの3T刺激の第一電位が有用であった。 (本年度のまとめ) 1.血圧低下により脊髄血流量が減少することは昨年度報告した、本年度は血圧低下状態において脊椎に牽引を加えることにより脊髄血流量の減少がより顕著となることを認めた。また牽引を解除すると30%群では50%群に比して回復が良好であることが解った。 2.脊髄牽引が虚血時の脊髄に及ぼす影響を評価するためには、下行性脊髄誘発電位の弱刺激による第一電位が有用であった。
|